その人はとてもやさしく、純粋な人だった。
「…また、来てくれたの?」
彼女の冷たい硝子瓶のような心の底には、幼い少女がひとりしゃがんでいて、少女の瞳はどこか物寂しく、その儚さはこの先どこかで破滅してしまいそうだった。
「綺麗でしょう?白い薔薇。昔は…さんと育てていたんだけれど、あの人は、もう…」
「いや、言わなくていい。綺麗だな。」
「優しいのね。…あ、見て。蝶が…」
彼女は蝶が止まっている花のもとに駆け寄り、ただじっと眺めていたのだが、そうしているうちにやがて蝶は空に吸い込まれて飛び立っていった。すると彼女は無邪気に私のほうを見て、鈴を転がすような美しい声で笑います。
「…意外だな、君が蝶を見てはしゃぐなんて。」
「ふふ、つい追いかけてしまうのよ。なんだか気恥ずかしいわね。」
彼女の心を冷たい硝子瓶と表したが、冷たい硝子瓶にはひびができていて、そのひびには白い薔薇の咲く庭からさす陽光が入り込み、硝子瓶をきらきらと輝かせている。そのさまは、他人の私にはとても綺麗に思えた。
以上です。死ぬほど短かったですね。
この小説に出てきている「彼女」は未亡人なんですが
未亡人っていう属性が好きすぎて書いてしまいました。ww
未亡人という呼称がどれだけ時代錯誤なのかはわかっていますが許してください。
読んでくれてありがとう。
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ななしさん
すっごい好き。
ガラスみたいで繊細で儚くて。
私も小説家やってるけど、こんなきれいな表現、できないと思う。
純粋にすごい、尊敬する。
あわね。
なんだか美しい言葉選びだなぁと思いました。
きらきらした宝石箱のようなものが一瞬文章の中に見えました。なんか、割れたビー玉のビスクドールの瞳というか。
瞳の描写が綺麗ですね、つい読み入ってしまいました。
ターニャさんへ
小説書くのめちゃくちゃ苦手なんですけど、一度今にも壊れてしまいそうな儚い未亡人の女性と、愛しているからこそ亡くなった元旦那への悲しみを引きずっている彼女の心を優しく護る男性の物語を書いてみたかったんですよね。
ターニャさんの感想、嬉しかったです。
こんな短い物語から、そこまで感じ取ってくれるなんて、、、、って思いました。
読んでいただいてありがとうございました。
すごくキレイで繊細で、壊れそうな物語ですね。
初夏っぽい設定なのに晩秋のような、もの哀しさが良い感じです。
壊れそうな彼女を壊れないように護る、痛い切なさも伝わって来ました。
語彙力が無い感想ですみません。
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