大好きなあの子を引き留めてもあの子はきっと別の人間が好きだろうから止まらないと思う。だったら傷つく前に、って思うのが人間で私も例に漏れずそういう思考に陥った。例に漏れずと言っているけど実際好きになった人間は少しイレギュラーで友達で同じ部活で二年生になっても同じクラスで気の合う同性。別にあの子はレズビアンではないし私に気があるわけでもないから狡いけど他の人よりあの子の近くに、友達として傍にいれる。本当は友達としてだけじゃなくて恋愛的にも側にいたいけどあの子はそれを望まないだろうし、あの子にこの事を言って困らせるつもりもない。ただ私が一人で焦がれていればいずれ冷めるものなのだから自由にしようと思う。案外思春期特有の同性への憧れや嫉妬、劣等感を恋愛に履き違えるというやつかもしれない可能性がある以上、ぽっと出で言っていい台詞じゃない。
私自身は今の今まで同性を好きになったことなんて無かったから自覚し始めたときとても不安で怖かった。自覚だなんて言うけど実際はぽけーっと授業中あの子越しに窓を見てあの子の仕草を見ながら休み時間に話していたことを思い出してあー好きだなって思ったことだった。いくら暇な授業無いようだったといえ、まさか友達で同性の人間を好きだと確実に脳裏を過るだなんて誰が予想できようか。その日はそれ以上考えずに終わり特別気になる新しい友達程度にしておいた。もともと私は独占欲やら嫉妬やらがきつい人間だから友達のなかでも一際目立つ彼女に目が眩んだだけだろうと。何ともないただの日常の発見だったからいつだったか記憶も無いくらい波が立つことは無かったみたいで、でもそれは確実に私を蝕んでいたようでつい2、3月前これ以上は分からないと親友にこの事を打ち明けた。親友も同じクラスで面識どころか友達でこちらもまた気があっているので誰かということは伏せて同性を好きになったかもとだけ伝えた。親友は偏見なく受け入れてくれた。けど好きな人とどうこうあったという話は親友に私の好きな人がバレる可能性が高く出来ないからここで吐く。そう言うことで私があの子を自覚した上で好きだと気づいてからまだ2カ月。
今日はあの子がえらくこっちに来てくれたからそれに甘えて休み時間は一緒に過ごした。昨日に鶴を折り終えたから逃げ道もないし諦めて大人しく対応することにしたが、まさか全ての休み時間を私と過ごしてくれるのは驚いた。だっていくら昨日一昨日とちょくちょく来てくれていたとは言え私のことをあまり気に入らなかったのであろうから孤立する覚悟をしていた。今日はやけに手を触ってきてこちらとしては嬉しいものだがあの子に何かあったのかと少し不安ではある。例の事が足枷になっているのかと。あの子の行きたいところへ飛び立つ力を、私だけでなく多くの人が焦がれるであろうあの子の全てを言葉で、ただ少しの言葉だけで挫こうしないで。あの子を守りたかった。
修学旅行が現実味を帯びてきて先生方にクラス班別行動の3~5人、学年班別行動の4人以上を休み明けにそれぞれ提出できるよう言われた。クラス内の方は仲間内が6人で3、3で分けて同じ動きをすればいいよねってことで細かくは決めてないけどきっと一緒に居られる。学年別の方は10人にもなってしまって頭を捻っている。皆が行きたいところをそれぞれ把握もしてないのにどうしよう。