大学受験、失敗した。
1年だけ、と許して貰った浪人生活。
地元で評判の予備校に通った。
先生も友達もとても良い人で、優秀で、浪人は私だけで他は現役生だったけど、仲良くしてくれて。
1年全く遊ばずに勉強した。
1日遊んだせいで落ちるとか、残りの三百何日が無駄になるって思って。
目指すは難関校なのだから、1年間をズタズタのボロボロになるまで使い倒す意気だった。
土日祝日、盆正月休み無し。全然良かった。
その予備校を探してきたのはママだった。
たいそう心惹かれたようだったので、今まで通ってきた塾を辞めてそちらに移った。
その予備校の先生は、いける、と言った。
授業を受けてて、私も、全力で走れれば、掴めそう!と思った。
でもパパは反対した。
家族の時間を作れ、と。
週に1回は予備校を休めと言った。
それは追い込みの時期になって、週に2回になった。
間に合わないな、と思った。
共通テストを受けてみて、やっぱりダメで、第1志望を諦めた。
一浪まで、だから、ここに出すのはチャレンジすぎる、と先生に反対されて。
第2志望を受けてきて、昨日、不合格だった。
判定は良かったのに。
二次力も考慮した上で、先生は「やりましょう!」と言ったのに。
その瞬間、私の心は怒りの気持ちでいっぱいになった。
悔しい、よりも、イライラ、ムカムカした。
「私、勉強させてもらえてたら受かったのに。」
自分の学力不足が、どうしても、自分だけのせいとは思えなかった。
塾行かず、家で勉強している人もいる。
家のお手伝いしながら向かう人もいる。
でもそれって少数派で、苦労しながら頑張った人。
私を少数派の苦労人にしたいのか?
両親は、あなたは恵まれている方だよ、と言う。
そうかな?
世界の中ではトップかも。
日本の中では中間くらい?
でも、私のライバルたちの中では?
小中高9年勉強を頑張ってきて、塾に通い、私立の学校に通い、好きなだけ勉強させて貰えた人たち。
その人たちの集団で見たら、どう?
難関大受験において、私は必然的に下位になる。
もちろん、お金の事情は仕方ない。
すぎた時間も仕方ない。
私に必要だったのは、「1年間みっちり勉強する権利」。
受験は、強い奴が受かる。
元々の才能
積み重ねてきた努力
メンタルの強さ
体調
運
これらの合計ポイントが高い奴が結局、本番点数を取れる奴なんだ。
天才に生まれることはできなかった。
努力の「量」を減らされ、勉強を応援してもらえず、誰が強くなれるだろうか。
ひどく落ち込んだ。
これは、世間一般には「言い訳」だからね。
その時、同じ塾の高3の子が、私浪人する、と教えてくれた。
私の受験は終わった。
だけど、その子とでっかい夢を掲げてしまったので、人生は終わらなかった。
これまでの19年間の汚い部分には、コンシーラーにファンデーション厚塗りで隠しとけばいっか。