昨年久し振りに祖父母の墓参りに、祖父の故郷の町に行った時、ふと思い出したことがあった。
その町に初めて訪れた二才の時の記憶。
夏の夜だったと思う。
縁側があって、庭がある家にいて、ふと庭に下りたくなって、そこにあった大人用のスリッパをはいて下りてみた。
縁側の方でおじいさんとおばあさんが話していて、おじいさんが何か駄々をこねているようだった。
何を話しているんだろう?って二人を見たら、おばあさんが気がつき、
「おじいさんが駄々こねているなんて恥ずかしいよね」
って笑った。
私も、そうだなーと思い、笑い返した。
そうしたら祖母が私に庭から上がってくるように呼んだので、縁側に上がった。
今になると思う。
あれは本当の祖父母じゃなかったのか。
祖父の兄夫婦から養子にもらったのが父だと知ったのは、祖父母が亡くなった後だった。
母から聞いた話では祖母は子供を産めず、祖父の兄夫婦が子沢山だったので、兄夫婦の子供を生まれてすぐに養子に迎えたそうだ。
昔のこと、子供がいない事は恥ずかしいことで、しかも祖母は元芸者だったそうで、その辺りで世間から色々言われたのだろう。
だから養子を迎えたのだと思う。
だけど何故、本当の祖父母のことを知らなかったか…と言うと、多分知られるのが怖かったのだろう。
だから、あの時も、本当の祖父母と話している私を見て、祖母は私をさりげなく呼び戻したのだろう。
祖母は私が小さい時からずっと何かに怯えていた。
孫が自分の祖母を殺した、というニュースを見ると、悲しそうに私を見た。
多分、自分と私が血の繋がりのない他人で、それを知られたら追い出されるかもしれないと思ったのだろう。
そして、父を養子にもらう前に、祖父の兄夫婦から男の子を養子にもらったが、病気で亡くしたらしい。
そして、父が赤ちゃんの頃、右手を火傷させてしまい、父の小指の先は無くなってしまった。
だから、いつ、父を戻せと言われるか怯えていたようだし、その孫である私も自分達の孫にされてしまうかもしれないと思ったのか、一度も会わせてもらったことがない。
…と思っていた。
でも、あの時会ったのがそうならば…
でも、もし今、祖父母が生きていたならば言いたい。
私の祖父母は、一緒に住んでいた、いっぱい思い出をくれた、いっぱい愛してくれた貴方達以外いない。
もし生前本当の祖父母がいると聞かされても一緒に過ごしたことは無いし、話したこともないから実感がないと思う。
だから。
追い出す、なんてしないし、本当の祖父母のところに行くことなんて無かった。
…信じて欲しかった。
でも、本当の祖父母の事は、確かに血の繋がった祖父母で、父を産み出してくれたことに感謝している。
父のお葬式の時に、父の妹、叔母に会い、父を生まれてすぐに養子に出したから母乳をあげることが出来ず、胸が張って、痛くて、泣きながら母乳を搾って捨てたと聞かされた。
私も子供を母乳で育てたから胸が張った時の痛みが分かる。
それをいつか飲んでくれて痛みが消えるならいいけども、飲んでもらえず、捨てなければならないなんて、どれだけ辛かっただろう。
そして子沢山とは言え、自分の子供を、弟夫婦の元に、生まれてすぐに養子に出すのも辛かっただろう。
だから。
だから。
ただ…ただ…
有難う、って言いたかった。
残念ながらお墓の場所を知らないし、仏壇に参ることも出来ないけれど…
父が亡くなった時に叔母が持ってきた写真で初めて知った本当の祖父母の顔。
本当の祖父は父にそっくりだった。
確かに祖父と父は似てなかったけども、そんなのどうでもよかった。
家の小さな庭で、つつじを手入れしていた祖父。
山登りが好きで、時々連れていってもらった。
とっても躾が厳しくて、大きな足音で歩いたり、引戸を閉める時に大きな音を立てると怒った祖母。
でも色んな童歌を教えてくれた。
だから。
だから。
おじいちゃん。
おばあちゃん。
血が繋がっていなくても、二人は私の本当のおじいちゃんとおばあちゃんだったんだよ。
それを、伝えたかったよ。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください
ななしさん
返事有難うございます
その記憶を思い出した時、
もしかしたら本当の祖父?は私と話したかったのかも…
だけど本当の祖母?にいさめられていたのかも…
それでも話したくて駄々をこねていたのかも…
それを察知した祖母が私を本当の祖父母から離すために声をかけたのかも…
全ては『かも』ですが、もしそうならば、本当の祖父母の気持ちが悲しいし、祖母の行動が意地悪に感じるけども色々考えると悲しくなります
色々思ったことを、生前に伝えたかったです
いずれ自分が養子で、そんな父母に育てられた父について小瓶を流すかもしれません
少しずつ少しずつ自分の歴史を振り返るべきかな、とこの小瓶を流して思いました
ななしさん
あなたの思いは、どちらのお祖父様、お祖母様の元にも届いたと思いますよ。
本当のお祖父様、お祖母様も、あなたに思い出を下さったお祖父様、お祖母様も、どちらにとってもあなたにとっては大切な人達なのだと思います。
あなたの気持ちを知って、あの世でみんな安心して過ごしているといいですね。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください