ある店のカウンターでかなりの美男子がビールを頼んでいたが、南部訛りがひどくて
「ワンベア・プリー」としか聴こえない。
何度か「ワンベア・プリー」と繰り返したが、まだ新人らしきバーテンさんには通じず、一向にビールは届かなかった。
その南部訛りの色男は、近くに座っていた私に向かって「あーあ。」といった感じで口を曲げて、いかにもアメリカ人って感じで両手を広げた。
私はそれを見かねて、
「あなたが飲みたいビールの銘柄は?」
と尋ねた。彼は白い歯を見せてニッコリ笑って、
「ハイネケンが飲みたい。」
「じゃあ、ハイネケンを下さいと言うといいかも。」
と言ったら、彼は私の隣に座って、そうやって注文した。
やっと彼の元にお待ちかねのハイネケンがやって来た。
彼は美味しそうにそれを一口飲んで、
「君のおかげでやっとビールにありつけたよ。お礼に一杯好きなものを奢らせて。」
と言って、私に一杯奢ってくれた。
そして、日本に来てからの事や、彼の故郷の話をして、私にお礼を言って帰って行った。
やはりアメリカ南部出身の人だった。
仕事帰りのビール、無事に飲めて良かったね。
ご馳走様でした。
今はもう任期を終えて故郷に帰ったのかな。
♪Georgia On My Mind♪ Rey Charls