優しさは今や悪徳だ。
HSP、繊細さん、生きづらい人、などなど… そう言ったレッテルは幾らでもある。そう言う人間はこぞってその名づけを喜び啓発本を買っていく。しまいにはうつ、発達障害、愛着障害、等を“抜ける”、”生き抜く“為の素人が書いたhowto本まである。一大ビジネスだ。
そうやってレッテルを付けられ、或いは病であると診断された人間は、そうなった根本的原因の悪徳...つまり”優しさ“を矯正しなければならないとどの本も言う。
矯正しなければならないものは悪徳に他ならないのでは?
優しさ。
思いやりがあること、細やかであること、控えめであること、従順であること、大人しくあること...... 厳密な意味を問うているのではない。
それら全て、“優しさ”を持たない大多数の人間や社会にとっては「虚弱」に他ならない。他者に踏み躙られる隙まみれ。
そもそも現代社会という歴史上ない高度なぬるま湯のお陰で運良く見逃されているか、保護されているだけの生物だ。
現代社会ではルールに沿って生きる事が求められる。ルールはルールであり、重力や熱的エネルギーのような原理では無い。ルールを破っても神の雷など落ちてこない。
「虚弱」な優しい人間は、最早埃を被った道徳のルールを頑なに、真面目に守る。他者を尊重し、想像し、慮り、謙遜し、そして、守らない人間によって害される。良いように利用される。
そして、数多のニワカエッセイストに、
「もっと自分の意志を主張しましょう。」
「もっと自分の事を大事にしましょう。」
「もっと人付き合いを選びましょう。」
など、傲慢にもご高説垂れられ、またもや優しさ故に平伏し、大人しく金を毟り取られるのだ。
多少の暴力性、為害性こそがこの世で成功する為の裏ルールだ。残念なことに現代道徳においてコレは語られない。そして、愚直な優しい人間は大抵長い間この裏ルールを知らずに生き、或いは知らぬまま死んでいく。
普通の人間なら、示し合わせないと守れないから、わざわざ”表“ルールになるのだ。
意識せずとも、すんなりと守れる神経過敏な脳みそを持った人間は、普通ではないのだ。生まれ持ったか、教育によるものか、どちらかは関係ない。不良だ。悪徳だ。
こんな悪徳を持ち続ける人間は、ロクな運命を辿らない。幾らか親切な普通の人間は、彼等が生き延びられるように、暴力を教え込ませる。この世の生き方というものを再教育してやる。
そういった人間に恵まれなかった優しい人間は、此処にはおよそ書けない末路を迎える。
「いいや、そんな事はない!優しさあってこその共生社会だ!」そんな意見もある。
コレは程度の話だ。グラデーションだ。
”純度の高い”優しい人間、矯正前の人間について言及している。
悪徳は出来るだけ少ない方がいい。だろう?
そういったのぼせた意見を言う人間に限って、暴力性をちゃっかり身に付け、以前の純度の高い優しい人間であった頃の時代の自身を、まるでヤンチャ時代、中二病時代のようにどこか自虐的に語り、まだまだ純粋な優しさを持つ人間を見下すのだ。
どこまでも優しくある限り、破滅からは逃れられない。今現在の自身を否定するあらゆる言説を、優しさ故に受け入れる。
因みに、人間が作り上げた現代社会は、人権というアイデアの元に成り立っている。
真に権利を犯しているのは誰だろうか。
優しくない人間か?
彼等は、優しい人間自身がその権利を自身で辞退しているのだ、放棄しているのだ、と言うのだろう。
多数決なら仕方がない。
やはり、優しさは悪徳だ。
早く皆、捨て去りますように。
私はその悪徳が好きで堪らない、札付きの狂人であるので、この世界から早く立ち去りたい。
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ななしさん
1通目のお返事の方へ
お返事ありがとう。強くてかっこよくて綺麗だなんて言われたのは生まれて初めてです。照れるなぁ。調子に乗ってまた色々書いてしまう。
今の時代は社会情勢やネット等の技術のお陰で病んだ優しい人間に接触しやすい。大昔はそれこそ、早くに気がおかしくなったり、くたばったり、間引かれていたりした人間だ。昔は賢く、運が良く、ある程度金のある優しい人間しか自分の考えを世に残す/他の優しい人間の考えに触れる事は出来なかった。
所謂、古典本である。
現代はこのサイトやその他のSNS、本のように巷に溢れている。私が言うまでもなく、この”市場“は認識されており、まあ、小瓶で言及したような本も出る。
その環境に甘んじて、幾らかの暴力性を身につけた”元“優しい人間が、さほど強くも賢くも無い中途半端な優しい人間を貪る構図が本当に私は口惜しい。
助けを求めて見た目はキャッチーなそれらの本を取る。少しはスッキリする。しかし所詮ニワカが書いた一つのエッセイ体験に過ぎない。科学では無い。医療でも医学でも何でも無い。そして、また別の可愛らしい本に手を伸ばす。別に趣味で好んで読む分には良い。ただ、その本のお題目に「生きる」「治す」など... どん詰まりの人間にとって魅力的な言葉を掲げているのはなんて残酷な事だ。羊頭狗肉だ。薬が必要な人間にラムネを与えるようなものだ。
孤島さん。
苦しいのに、誰も助けてくれなくて、どうしても本しか助けを求める相手がいない時は、本当の事が書かれた本を読みなさい。
責任を取ってくれる本を求めなさい。
著者の理性と努力と研究と誇りで綺麗に整えられた血文字の本です。
わざわざ二番煎じ、三番煎じ、偽物を読んでやる必要はありません。時間と気力は貴重なのですから。
どうかお元気で。
なんだか本当に納得できて、でも苦しいですね。ほんと、人間社会って嫌になっちゃうなあとたまに思います。
強い人間になった先に何か良いことがあるかなんてわからないし、それはなんだか異世界の話のようにも感じるし、発展した近未来に目を輝かせると同時に画一化して失われていく文化を憂うような感覚で恐れも抱きます。
ただ、そうやって本当の自分を見失わないで絶対に己から逃げようとせず(あなたの意志の如何に関わらず)、さらには社会の風潮までもそうして見抜くことのできる小瓶主さんは本当に強く、かっこよく、綺麗な人だなと思いました。
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