自分のしたい事が分からない。
本当にしたいのか。正しいことなのか。間違ってはいないか。勘違いではないのか。頭がだんだん痛くなる。それなのに脳は止められない。止まらない。止まってくれない。ぐるぐる、ぐるぐる思考が巡って。考えが纏まらなくなる。
お前は変わっているのだから、しっかりと考えてから行動しなさい。
ずっと昔に言われた言葉が鼓膜に張り付いて離れない。
間違いによる怒声が、罵倒が、否定の言葉が、ずっとずっと響いていく。
そうなれば考えるとこなんか出来なくて、ただ従順に生きていく。
自己判断が不安になったのはいつからだろうか
昔は自信があったのに。今や自信は家出中だ。戻ってくる目処は立っていない。
自分の考えで行動しようとすると、体が震える。
また怒られるんじゃないか、なんて不安で芯が寒くなる。
根拠のない不安で息が浅くなる。場合によっては過呼吸だ。
ただしそれは一人のときだけで、周りに人がいるならば そんな症状は出ない。
出せるわけがない。どんな噂が広がるかわからないからだ。
親にバレればとてつもなく面倒臭いからだ。
だから学校では気丈に振る舞う。
笑いをとって、自分に自信がある様に見せて、悩みなんかない振りをする。
明るく、元気で、楽天家で、少しお馬鹿で物知りな○○さん。
いつも本を読んでるか、誰かと話している子。
特別仲良しの友達はいないが、大体の人とでもある程度は親しくなれる人。
学校でのイメージはこんなものである。
私と余り親しくない彼女達が、御手洗いで話していたから間違いはないだろう。
彼女等は御手洗いで話した事は何処にも流れないと思っているので、嘘は言わない。
一人でも人の和に入れる子。整理整頓や物の管理は苦手だが、ある程度賢い子。
問題発言や少しの悪戯はするが、問題は起こさない。
其れが教師からの私の認識である。
有り難いことに問題児では無いわけだ。
そりゃそうだ。何故ならそのようにしているからだ。
上手に嘘をつけるように。嘘を隠し通せるように。何度も何度も嘘を重ねる。
嘘だとバレないように、いつもの会話にも嘘を混ぜて、本当と嘘の区別をつかなくしたりと、努力は怠らない。
今じゃもう、どれが真実でどれが虚構なのか私にすら分からない。
なんにせよ上手く隠しているわけだ。
だからこそ、相談ができない。
勇気が出ない。どうすればいいのか分からない。
一人になり、判断すると、不安で過呼吸になる。
痛む頭と霞む視界が凄く邪魔だ。
このまま続くのも面倒なので解決を目指した。
思春期の鬱病もどきかと思い、自分のしたいことをしてみる。
咄嗟に思いつかなかったのでリストアップしようとしたら、
出来上がったのは白紙である。
なので好きだったことを片っ端からしていくことにした。
甘いものが好きだったので、チョコを食べてみた。
美味しいとは思えなくて、失望が溜まる。
辛いものが好きだったので、一味をたらふくかける。
あんまり辛くない上に、そこまで美味しくはなかった。失望は溜まっていく。
メロンパンが好きだったので、記憶で一番のメロンパンを食べる。
其処までだった。…以下省略
カレーライスが好きだったので、…以下省略。
鬼ごっこが好きだった…以下省略。
ゲー厶。お笑い。漫画。アニメ。思い付くことは全て試した。
結果は全滅でだ。
ここまで来たら笑えて来る。
どうしたらいいのだろうか。どうなったらいいのだろうか。
答えはやはり出てこない。
人前では我慢できるのだから、解決しないのも一つの案ではないか、
そう考えてしまう。甘えてしまう。怠けてしまう。
いったいどうすればいいのだろうか。