退魔師が言霊を唱えた。[解!!!渦]その反転術式によって、玉藻の前は倒された。玉藻の前は最期の時、薄れゆく意識の中で思った。考えれば、死ほどの安らぎもない...きっと彼等は赦してくれるであろう...玉藻の前は深い安らぎに包まれた。幸福なのであった。退魔師は思った。ああ、これが似合いのお姿だ。これが、正しき道だ。闘いは終わった、と。けれども、退魔師の心には僅かに陰りがあった。何故ならあれは[幻]だった。そう思うと、深い安堵のような、郷愁のような、何とも言えない何かが、胸にこみ上げて来るのだ。それは、胸から喉の辺りまで広がって、退魔師の体を埋め尽くした。まさに、その想いによって、生きて居たのだ。それがあったから、わたしは生きられたのだ。その感覚の正体は、恋だった。