ああもう。何も無い。何も無い。何も無い。
どうして私にはこんなに何も無いんだろう？
才能。意志。容姿。気立て。思考。生産性。努力。
無いものだらけだ。
無いものだらけのくせに、無いものねだりばかり。
いつもそうじゃないか。
人と自分を比較しては羨んで、嫉妬に身を焼かれ、黒焦げになった心が「いいなあ」「消えたい」と呻く。
比べなければいいものを。
完璧なんてありえないが、分かっていたってできない自分がどこまでも嫌だ。
上には上がいるのは当然だというのに、勝手に上を振り仰いで打ちのめされては負け続けている。
そんな自分がバカみたいに思えるし、絶対生きづらいからやめた方がいい。
でも「やめた方がいいから」なんて思って「はい、じゃあ止めましょうおしまいです。」なんてできたらここまで頭を抱えてないんだよな。
なんでもっと人間ってのは簡単に変われるようにてきてないんだろうな。
とか、主語肥大化させてグチグチ言ってもどうしようもない。
もうなんと言うか、自分が持ってるものが何も無さすぎて生きることそのものに向いてないような気すらしてきた。
んじゃもう生きることそのものをやめてしまった方が良いんだろうか？
なんかもうそんな気すらする。
日に日に何かをする気力がなくなっていって日に日に存在価値と生きる意味がすり減っていく。
人生というものの色味もなんだこんなもんか、あと少しでモノクロだ。
もうしばらく、刹那的な感情以外を体感していないような気がする。
後引くような感情なんて、虚無感と苦しみ以外で最後に感じたのはいつだ？
半年前？いや、もっとなんじゃないか？
なんと言うか、ゆっくり心が死んでいっている気がするんだよな。
癖だった『誰かの感情をなぞって体感すること』も出来なくなって久しい。
その時その人物がどう考えどう感じ何を思いどんな風に世界をその目に映すのか。
以前はあんなにも見えていたのに。
それが今ではどうだ。
誰かの感情どころか、自分の感情すらもろくに認識できないとかいう有様じゃないか。
笑うのも怒るのも喜ぶのも悲しむのも、空々しくて表面的でその場に残らずにすぐに消えてしまう。
特にこと明るい感情についてはそれが顕著すぎる。
一秒前まで笑っていたって次の瞬間には「消えたい」なんてことばかりだ。
いくらなんでも刹那的すぎやしないか。
「こういうときはきっとこういう感情」っていうハリボテだけで継ぎ接いでるとかそういうレベルだ。
マッチ売りの少女みたいにマッチをすって火が大きく燃え上がったその一瞬の幻想に縋り続けるような、そんな気休めばかりでどうしようもない。
そんなあぶくみたいな感情だけを啜って、動いていた頃の温度を持った心はどこへ行った？
もともと何も持ってなんか居やしなかったのに唯一人間らしい部分だった感情の温度まで無くなったらもういよいよ生きてたって仕方ないんじゃないのか？
あぁでも羨望や嫉妬や劣等感や苦しみだけは残っているから塵芥のようでも一応人間ではいられるかな。
いや待て塵芥のような蝋人形同然の迷惑生産機なら存在ごと消えた方がいいよな。
なんだ結論一緒じゃないか。
はぁだめだ。一分と感情がもたないせいでもともとは何を吐き出したかったのかも分からなくなってきた。
アーカイブ能力低すぎやしないか。
そんなのじゃ未来を生き抜けないだろうに。
もうこの際いっそ早く心が死にきってはくれないだろうか。
今はまだ中途半端に心が生きてるせいで人生を続けてるが全てが真っ暗になって何も見えなくなれば、もうこんなアホみたいに色もなければ味もなくて手の付けようのない欠陥品みたいな人生をさっさと捨てて楽になれる気すらするから。
あと少しだろう、なあ？
あとは死ぬ気力だけ賄って残りカスみたいな生への執着と相も変わらず煌々と主張してくる死への恐怖を捨て去れば、準備をして死ぬだけ。
それだけだ。
何事にも終わりがあるから、それが早まるだけ。
思い出せ。私は終わりは嫌いだけど、始まりの方がもっと嫌いだろう？
もう終わりにしよう。それだけだろう。
いつも幾度となく私がしてきたこと。
嫌なことは途中で投げ出してやめてしまえばいい。
勤労納税教育は義務だが生存は義務じゃない。
死ぬことよりも生きることの方が難しい。
よく言われるが本当にその通りだ。
死はぼけっとしてたっていつかは頼んでもないのに勝手にやってくるがそのせいで生はいつもその立場を脅かされ続けているわけだから当然だ。
死は永遠なのに生は永遠じゃない。
死は作り出すことが出来るのに生は維持することしか出来ない。
いくら必死で守って維持したって結局は死がやって来てめちゃくちゃに壊して焼き払ってしまうのなら、そんなものいつまでも持ってたって気疲れするだけで仕方がない。
ほら。生きる理由なんてものはどこにも無いんだ。
それなのにどうしてこんなにも恐れて躊躇っているんだろう。
はやく。はやく心など死んでしまえ。
恐怖ごと全部抱え込んで死んでしまえ。
何も持ってやしないし何も意味などないし誰も救ってはくれない無価値な私の不毛な一生を終わらせるために。
十数年程度のシミ汚れのような私の痕跡がこれ以上降り積もる前に。
早く、早く、心ごと全て死んでしまえ。
私の全て、なくなってしまえ。
あぁ…消えたい。
