きっかり50日の精神病院への入院生活が終わった時、私は一刻も早く学校に行きたかったはずだった。
入院患者ではなく、高校生としての生活に胸を膨らませていた。
「高校に行くぐらいなら死にたい」と思ってオーバードーズに溺れていた入院前の生活など忘れて、そうだな、新しい自分に生まれ変わったような心地でいた。
そうして一月が経った。
高校に復帰して一月で私は、入院前とまったく同じ道をたどっていた。
補足しておかなければならない。
高校に行って、いじめがあったわけでも、嫌いな人がいるとか、そんなことは一切ないのだ、
教室に行けば当たり前のように「おはよう」といってくれる女子たちがいて、勉強を教えてくれる先生がいて、帰ったら元気?とラインしてくれる友達がいた。
それでも、私はまた「高校に行くぐらいなら死にたい」と叫ぶ毎日に逆戻りしていた。
高校をやめるという選択肢を視野に入れていることを親に話したのは一週間ほど前のことだった。
もちろん親は猛反対。「嫌なこともないのに学校に行きたくないなんて、ただの甘えだ」と。
でも、自分でもわからないのだ、どうしてこんなに高校が合ってないのか。
一週間かけて、学校に行くことがどれだけつらいかを説明した。自殺願望があることも、オーバードーズの話も正直に話した。
そうして、高卒認定をとって大学か専門学校を卒業することを条件に私は、高校を中退することが決まった。
これから一生、高校中退という事実が私の人生に付きまとうこと、それは人生を生きづらくするものに違いなくて、それを親は心配したのだと思う。いつか後悔すると、私が後悔しないように、親は中退を反対したんだろうことも、私はわかっていた。
いつか後悔はすると思う。もう少し頑張れたら何とか卒業できたのではないかと。
そう思ったときに少しでも自分を許してあげられるように、こうやっていまこのときに、文章を書いている。
これからもしんどいことがたくさんあって、今回みたいに逃げられないことも、いまよりももっと努力しないといけないこともあるんだろう。
それでもこの決断は間違いじゃなかったと思えるように、これから何者かになるために。