田んぼの畦道に見慣れない花が一輪、ポツンと咲いている。
近所の人は怪しがって近づかないけど、私は結構気に入っている。
そこまで華やかでもないし、さほど大きいまでもなかった。
フキに似た花だった。
でも不思議と目をやってしまう、そんな花だった。
ある日、その花がなかった。
周りの草木も随分と伸びていたし、ただ隠れてしまったのだと思っていた。
でも私はその花が好きだったから、もう一度見たいと思ってあった「はず」の場所を探した。
どこにもなかった。
あったはずの場所にはぽっかりと穴が空いていて、誰かが持ち去ったように思えた。
そして、奇妙に暖かかった。
近所の人は近づかないし、一体誰が...
ぐるぐると考えを巡らせながら帰り道。
ふと、少し離れたところに小さな少女がいた。
少女はもう10月だと言うのにノースリーブのワンピを着ていた。
私が近づくと少女は踵を返し、逃げてしまった。
今思うと、消えたの方が近かったかも。
それが、私と少女の出会いだった。
読んでくれてありがとうございました。
入りきらなかったので、連載しようと思います。
絢星月