半袖のTシャツを着て露出された腕にひんやりとした空気がふわりと乗る。
扇風機。
汗もかかないこの空間におけるそれは肌寒さを生じさせるものであった。
それのスイッチを止めに立ち上がるのもなんだか面倒で、腕を近くにあった布団へと潜り込ませた。
じわり、じわりと自身の体温によって暖かくなる腕は何故か自身の孤独感を増幅させていった。
ここには、自分しかいない。
あたためる者も、あたためられる者も、自身一人。
悲壮感情とも厭世感情ともつかぬ感情、停滞しているようで対流しまた同じ場所へ戻るような感情は酷く自身を蝕んでいった。
きっかけは扇風機。
誰にでもある日常風景。
ただそれだけのことが、自身を死の思想へと追いやったのだ。