あなたとは旅行にも行ったし、いろんなところへ一緒に出かけた。
そしてたくさんの写真を撮った。
二人で写ってる写真もたくさん。
でも、いつもそれらの写真、プリントすると全て私にくれたよね。
惜しげもなく。
お前にやるよ、って。
それが少し疑問だった。
私の写ってる写真はいらないの?
私たちが一緒に笑ってる写真は、いらないの?って。
別れてみて気づいたの。
形で残る思い出は、苦しいだけ、って。
あなたは最初から、そのこと知ってたんだね。
昔、あなたが大好きだった彼女と別れて、
ものすごく辛い思いを味わった、って話をしていたことがあったけど、
あなたは別れた後の思い出の処理がいかに苦しいかがわかってたから、
はじめから思い出を残さないようにしてたんだね。
そのことに気づいたとき、
ものすごく空虚な気持ちになった。
あなたからは、いつもどこか薄いフィルターを挟んだような、
あいまいな愛情しか感じられなかった。
本気になることで自分が傷つくことを、
最初から避けているような気がしていた。
そんな恋の仕方は、私にはできなかった。
だから、さよならした。
でも、アルバムにはあの日の私たちがそのままにいる。
捨ててしまったら、もう二度と(記憶だけでも)あの日々に戻ることはできない。
忘れてしまって良いことだとはわかってる。
でも、若かったあの時間の全て、ほぼあなたと一緒だったから。
私が輝いていた時間を共有していたのはあなただけだから。
困ったな。
どうしよう。捨てる捨てられない。