昔働いていた職場のホームページやSNSを、今でもたまに見る。
もう退職して何年もたつけど、ホームページからダウンロードできる書類は、俺が昔作ったものがマイナーチェンジされるだけで使用されていて、相変わらず、SNSでは、俺が昔作ったロゴが使用されている。ってか俺が編集した情報誌なんかも今だそのまんまサーバーに残っていたりして。いい加減新しいもの作れよ、んで古くなったものはサーバーから消せよ、って思いながらも、なんだか感じるノスタルジー。
まったく、俺のものを踏襲してばっかりだな。
お前ら、自分で自分のこと、優秀って言ってたな。安い給料でこき使って、散々馬鹿にして。それなのに、俺が作ったもの後生大事に使っているんだな。滑稽な話だ。
仕事への誇りも、仲間への敬意も、軽蔑も、恨みも、楽しみも、あの時は様々な感情を抱いていた。苦くて不味くて、でもほんの少し、ほんの微かに甘い、そんな記憶が蘇る。
痕跡が残りやすい仕事をしていたんだな、俺は。辞めたときは、もう何も思い出したくなくて、こんな痕跡が残りやすい仕事をしていた自分自身を呪ったものだ。でも、今となっては、苦さも不味さも少しの甘さも、きちんと味わうことができる。それだけ時間が経ったのだな。そして、真に前を向くことができるようになったと思う。