今月13日で53となり、熟年期の座右の書といえる、素晴らしい本との出会いがありました。
その日は、ふと思い立ち、行きつけの書店へ。
雪駄をちゃらちゃら鳴らしながら、いつもの出立で店内を気の向くまま、足の向くままに進みます。
書棚の前に立ち、まず最初に目が止まったのが…
『食えなんだら食うな』
というタイトルでした。
引き寄せられるままに取り出し、表紙を見ると、厳めしい顔をされた僧侶に、作務衣姿の一見、坊さんと間違われる私が手にしていることに、ニヤリとしてしまいました。
中を開くや…
食えなんだら食うな
病なんて死ねば治る
自殺するなんて威張るな
死ねなんだらしぬな
…等々、叩きつけてくる様な題目に、正に打ちのめされた思いでした。
これは、今読むべき本だ。
私は気に入った言葉があると、線引きや付箋紙を貼るのですが、以前、協力してくれと頼まれた、ある活動の中心人物に、私の蔵書を使って図書館をやるのなら、私が貼った付箋紙らは、後から読む人の縛りになるから、やめるべきだと言うのです。
それがどうした?
初めて話した時と変わらず私がやりたいのは、“図書館”ではなく、“図書庵”であり、私の気に入った本だけを並べ、来てくれた子どもたちが好きなように読む場なのだ。
図書館と違い、望む本が全てあるわけじゃない。
小難しい本だってあるほうじゃない。
でも、ここにある本を通して、きっかけを見つけてもらえたら良いなぁと。
だから、“図書館”ではなく、“図書庵”なんだ。
そう言う私を不満げに見返すその人に、嗚呼、やはりこの人も同じか…と、落胆。
線引きしてあろうと、付箋紙が貼ってあろうと、個人の趣味範囲の本であろうと、そんなことはどうでもよく、選んで本を開いた子どもが、読んでみて自分はどう思うかが大事ではないですか。
その後、更にがっかりさせられる事もあって、「もう、何もしない」と決め、私は蔵書の大半を処分し、離れました。
『食えなんだら食うな』を読んでいて、何度も亡き父の姿が蘇りました。
厳格な人で、35歳の若さで腎臓を患い、約30年、長い闘病生活を続ける中、自分に対しての厳しさも変わらなかったです。
そんな父との日々を改めて思い起こしながら、ペンを片手に読みました。
色々あり過ぎて、私を含め、周りも随分様変わりしてしまいましたが、熟年期の座右の書といえる本書を読み終え、子どもの頃、「本を読め」と散々言っていた父の姿が浮かび、ニヤリと笑って、
「な?……もっと読め」
と言われた気がします。
これまで私は、60まで生きれば御の字と思ってましたが、著者の最後の言葉を読んで、考えが少し変わりました。
人生は六十から。
七十代でお迎えのあるときは、留守といえ。
八十代でお迎えのあるときは、まだ早すぎるといえ。
九十代でお迎えのあるときは、そう急がずともよいといえ。
百歳にてお迎えのあるときは、時期をみましてこちらからぼつぼつ参じますといえ。
生きるとは、死ぬこと。
それは誰にでも平等に訪れるもの。
思えばその手本となるものを、父はその生き様をもって教えてくれました。
それなのに不甲斐ない息子で、そっちへ逝ったら、また説教説教、また説教、おまけにもう一つ説教でしょう…。
あのおっかない親父に叱られるのは嫌なので、「もう少し、後少し」と先延ばししたいです。
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温かいお返事、ありがとうございます。
いずれ小瓶を流すと思いますが、残念ながら私はそのことに関しては、人に恵まれませんでした。
ただ、子どもたちの笑顔が見たいだけなのに、面倒臭い“大人の事情”が絡みついてきて、昔の様に私一人でやるだけの気力は、もう失くなってたんです。
それでもまた、こんな自分でも何かしたい…と思いはじめた頃、宛名のないメールを知り、私なりに出来ることを模索しながら、拙いながらも想いを込めて小瓶を流してます。
拾ってくださって、本当にありがとうございます。
ななしさん
えー!!図書庵、それ、めちゃくちゃいいなぁってムクムクと楽しくあれこれ想像しながら読んでたら…そんなことがあったのですか…残念。
でも、そんな図書庵を想像するだけでもワクワクできて楽しい!
人ってそれぞれなんですね、ほんと。
私は好きです。
な?…もっと読め ニヤリ
いいなぁー。
"昼庵呑"主さんの小瓶、なんだか本読んでるみたいな、充実感?奥行き感?満足感?みたいなものがありますね。
一枚だけなのに。不思議。
もしご近所さんなら、お茶飲みながらのんびりおしゃべりしてみたい人だなって思いました。
"昼庵呑"主さん
こんにちは。私も本が大好きなんです、
『"図書庵"』行って見たかったな…。
古本屋(ネットで)蛍光ペンが引かれている本を見かけても
購入します。
その方と同じ所に共感したり、たまに?な時も面白いもので…。
自分なりに作者と三人?で対話をしている様で楽しいです。
本のタイトル『食えなんだら食うな』
衝撃的ですね!!何だか雷が落ちた位。
お父様の面影も浮かびます。
"昼庵呑"主さんのお手紙は
映像と共に、いつも心に響きます。
ありがとうございました。
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