ひどく孤独なときがある。
大人になって、いつのまにか友達はいなくなった。
誰と話していても、自分の求めている答えとはすれ違ってばかりだ。
自分の気持ちは誰にもうまく伝わらないし、
誰の気持ちもよくわからない。
人は孤独でも生きていける。
都会では、誰かと助け合わなくても生きていける。
知らない誰かが作った何かを、知らない誰かの打つレジで買う。
誰と話すこともなく私は生きていける。
「ありがとうございました」
店員は丁寧で親切だ。
それ以上でもそれ以下でもない、言葉通りの笑顔で見送ってくれる。
私は、何も困っていない。
ひどく孤独だけれど、不幸というには理由が足りない。
私は、泣いてもいいのだろうか。
尋ねる誰かを探せない。