纏まらない。どうしたらいいか分からない。
でも行かなくちゃいけないことだけは分かって
いる。私は約一ヶ月後に運命の人と出会う。
何ちゃって。それはどうか分かんないけど今
旅の準備をしている。人生の転機前の儀式。
観光というより行ったことのない遠い場所へ
行く。道中に浮かぶインスピレーションが目的。
鈍行の電車の車窓から海や山が見えるのが良い。
同じパターンに陥る。何を始めても最初は楽しく、
上手くなりたいという欲が出始めるとプレッシャー
になり途端に辛くなる。
おそらく原因は自分にかけている呪い。生きる
理由(役割、能力)がなければ生きてはいけない。
仏教のお陰で無常、無我、色即是空、空即是色の
思想を勉強したのにちゃんと理解できていなかった。
数年前にキリスト教的な「存在は無条件に愛される」
という表現に救われたこともあった。最近はやはり
無能な自分を責めて奴隷のように自分を扱ってしまい
心は怒りや憎しみや悲しみでパンパンなのに、顔は
無理やり笑っているという限界の状態に陥っていた。
同じことを繰り返していた。分かっているようで
分かっていなかった。心の声を理解すること。人権の
意味を勉強した。それは決して社会的弱者だけに
向けられたものではない。偏見や差別なく、個人の
決定が尊重され、いてもいい、受け入れられていると
思える居場所があること。点と点が繋がっていく。
人権は生きる理由、意味、存在意義、役割、能力が
なくても生まれながらに全ての人間が持つ、生きて
死んで行くという権利である。生きる理由はいわば
「色」であり「空」である。実在しないもの。
どういう風に考えるかは個人の自由に任されている。
それをあたかも実存するかのように思い込み、固執し
強制し、それによって押し込められた無意識の自分が
憎しみを募らせ心が苦しんでいるのである。
これからはもう大丈夫。生きることは自由なのだから。
どんな状況にあっても力強い命の存在が私には感じ
られる。埋もれても掘り起こせばいい。