「死をテーマにした詩(ダジャレではない)」
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黒い鴉は飛び去った。
羽根を残して飛び去った。
羽根は舞い落ち、怠惰にあった。
怠惰に進み、日も明けようという頃、雨風は優しく吹き抜ける。
秒針と灯火は、虚ろなる内にある。
虚ろなる内には、後悔と懺悔と感謝。
臆病と憤怒と、足場の揺れる平穏とが入り乱れ、虚ろさを確かなものにしている。
虚ろなのも無理はない。
血肉である鴉から抜け落ちたのだ。
しかし鴉は飛び去った。
屋根から飛び去った鴉は、いずれ何を思う。
私は何を見るだろう。
今日も今日とて見続ける。
だが、屋根は見ない。
鴉は飛び去ったのだから。
烏は今日も見続ける。
目を失ったと知りながら。
烏は今日も見続ける。
鴉は戻ると知りつつも。
そうとも、鴉が戻れば、目はまた戻る。
全てを置き去りにして。
いずれ鴉が来るならば、どうして鴉へと向かう必要があるのだろうか。
烏の羽根は揃い始めている。
目は刻一刻と進み続ける。
例え元には戻らずとも。
…戻らずからこそ。
いずれ羽ばたき来たる鴉は、屋根に戻りて何思う。
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古来、烏は神聖なものとして見られたそうですが、死期が近い人間の家の屋根に止まるとか、所謂、「横切る黒猫を見たら事故に遭う」みたいな迷信があったり、欧米諸国の文化が入ってきてから…
…かどうかは知りませんが、その頃からか、いつのまにか不吉の象徴、嫌なものとして見られがちになって行ったとか何とか、誰かが言ってたような言ってないような(適当)
まあ、現在でもゴミ袋とか荒らしてますね…。
(烏と鴉の字の違いは意図したものです。ククク…、この微妙な違いが読み取れるかな…?)