……何ですか、事の発端は誰だと思っているんですか？

お盆に、スーパーの駐車場に車を停めて、車の中で母と買い物の相談をしてい
ました。その時突然後ろから「ドン！」と音がしたので、二人顔を見合わせて車
から降りました。
　すると荷物を乗せた買い物カートが、私の車にぶつかっていたんです。
　買い物を済ませたおばあさんが、誰かに呼び止められた拍子にカートから手を
離してしまい、傾斜がかった歩道を辿って私の車にぶつかったようです。

　おばあさんは「弟の修理工場で見てもらいましょうか」と話していましたが、
私は車を買ったお店に頼みたいと思っていました。自分の知らないところに出す
のは心配だし、不安だからです。
　ですからその日にハッキリした返事はせず、お互いの住所と名前を交換して、
後日連絡するということにして別れました。

　やはり私の知り合いのところに頼むことに決めましたので、その旨を伝え、見
積書のコピーを送り、修理代をお願いしたんです。
　するとおばあさんの方で、弟の工場に話をしてある、と返答してきました。
　連絡もなく勝手に話を進められても、私は動きを取られません。仕事もありま
すし、そのおばあさんの住むところと私の住むところは大分離れているのです。
　また工場同士で連絡を取り合ったらしく、値段交渉があったようです。それで
、むこうの工場が安い値段を提示するならこっちも下げるから、連絡をくれ、と
、そこで一旦おばあさん方との連絡は途切れました。

　しかし一ヶ月経っても連絡がなく、話を聞いて怒った父がおばあさんに電話を
して、勢いにのって怒鳴るように文句を言ってしまったんです。
　おばあさんは驚いたでしょうが、こちらも驚く一言を聞きました。
『そっちでもう、とっくに直したと思っていましたよ』
　……私たちは待っていたんですよ、あなた方からの連絡を。もちろんその間、
こちらから何度が電話をしました、でもその度に、留守か居留守か知らないけど
、むこうは電話に出なかったんです。

　さらに怒った父は、警察に被害届出せと提案しました。確かにこのまま、逃げ
られるのは嫌ですから、次の日母と警察署に行ってきました。
「それはそのおばあさんに修理代を払う義務がある、今の状態は債務不履行です
ね。しかし、路上でないし民事になるから、警察ではなんとも出来ないな」と言
われました。でもこうしたらいいよ、と沢山アドバイスを頂きました。
　まず、むこうに修理代を払う意思があるか確認する。それで払わないようであ
れば、簡裁などに行かなければならない、ということでした。
　それに従い、もう一度おばあさんに連絡を取りました。すると「払う意思はあ
る、でも年老いた私にはよく分からないから、娘にお願いする」ということでし
た。

　その後、娘さんがワザワザこちらの知り合いの修理工場に、修理代を届けに行
ったたそうです。
　その時に彼女が「もう絶対、ウチのお母さんに電話したりしないでくださいね
！」と言ったそうです。


　……何ですか、事の発端は誰だと思っているんですか？　一ヶ月も時間空けて
、この怖い世の中であなた方を信じて待っていたのに、逃げようとしたのは誰な
のよ。それなのにその言い分はおかしくないですか？

　きっと父の怒鳴る声が怖かったんだと思います。でも、人としてやらなければ
いけないことを怠ったのは、あなた方ですよね？　最後に、意思確認をせずに裁
判やろうか、と思ったりしたけど、私たちが何か悪かったですか？　穏便に済ま
せたいと思っていましたよ、私たちだって！


　長かったですね、ありがとうございました。良かったら返事ください。