とてもかっこう悪い話です。
時間は、人の心の傷を癒してくれないという研究結果が出たらしい。そうだよなあ、と思う。
一生なんてまったく信じていなかった。
というより、そうすることで傷つかないようにしていました。でもあまりにも、まっすぐな目で見つめてくれるから、いつの間にかそれが本当なんじゃないかって思ってしまっていたんですね。
久しぶりに会った人は、ブラックホールのようになっていました。
わたしはとても馬鹿だから、いまだにあの目を思い出してしまう。その人が言っていた言葉は、あっという間に破られて、わたしなんて思い出されもしなかった。だけど、どうしても前の姿を忘れられない。
わたしの話す言葉はいつもすこし分かりづらいらしくて、本音を話すとめんどうくさがられそうで。だから人に本音を話すことが苦手でした。だけどその人には、余分な言葉をつけくわえなくても伝わった。人に真面目と笑われてしまう考えも、頷きながらやさしく聴いてくれる姿にとても救われていた。そのときは気付かなかったのに。
人が変わることはもちろん分かっていて、いまの姿の原因も、わたしに話してくれた言葉が破られた証拠で、人が嘘をつけることも、それが嘘じゃなくてそのときだけは本当だった言葉を、ただただわたしが大切にしすぎてしまったせいだともわかってる。
人が傷ついている姿を見て、こんなに自分が傷つくなんて思ってもいなかった。人に話しても馬鹿だなあと笑われます。あなたはもう関わることもできないから、いい加減分かれよと。
人に想いをもちすぎていることが悲しくて情けなくて、自分でも捨ててしまいたいと思う。だけど、どうしたってしかたがない。
一番苦しかったときに、やさしい友達はみんな時間が解決してくれるよと言ってくれました。ごめんなさい、わたしはまだ解決されていない。こんな自分はだめなやつだと思っていたときに研究のことを知って、すこしだけ楽になりました。
わたしはとても馬鹿です。たったひとり、なぜここまで思ってしまうのか、人からすれば滑稽なのだろうなと思います。
ただ、どこかで前みたいにやさしく笑っていてほしい、傷つかないでいてほしい。それだけなのに、なんで人はこんなにかっこう悪いんでしょうね。
もう誰かに話すことはありません。でもどうしても気持ちがいっぱいいっぱいになってしまって、小瓶につめました。
拾ってよんでくれた人がもしいるなら、ありがとう。とてもみっともない気持ちを見てくれて本当にありがとう。