自分は頑張ってきたつもりだった。何をしても彼には誉めてなんてもらえなかった。そのうちどんどん自信がなくなった。それでも、悲しいとか辛いなんて言えなかった、私がダメなんだ、私が我慢すればいいと思っていたから。「女の子らしくて、気配りができる子がいい」気配りは元々できる方だったから、ダイエットをして、得意な料理も頑張った。それでも、会う度にダメ出しばかりだった。職場で上司に「こんな優秀な人は見たことがない」と誉められ、それを誇りにしていた私のなけなしの自信はどんどん崩れていった。
本当は嫌だった、どうして私が責められるんだろう、どうして他の人みたいに愛してもらえないんだろう。積もり積もった思いはある日何の前触れもなく爆発してあっさり別れた。
結局彼は私の事なんて好きじゃなかった。「俺の事が好きっていうからどれだけ完璧に尽くしてくれるか試してた」その言葉が何より物語っていた。
そうか、完璧じゃないと愛してもらえないんだ。そう感じた私は人を好きになることを封印した。けれども一人になると寂しくなる。もう表舞台にはでない、自分は誰にも愛されないから無駄と思ったはずなのに時々馬鹿みたいな夢を見てしまう。
自分が誰かと幸せそうにしている夢だ。そんな馬鹿みたいな夢、捻り潰せたらいいのに。それかいっそ何も感じないロボットになれば、あの時一人で生きていくと悟った涙も報われるのではないだろうか。