好きな人がいる。
手が届くはずも無い人。
その人に何かを望むべくもないと知っているし、期待もしなくなった。
その人はマイペースだから。
今日も。
行動は読めているからがっかりしない。
その人らしいなと思って、週末を迎えた。
今日を振り返る。
昨日急にその人と電話できるチャンスができた。
必ず、電話しないといけない訳じゃない。
たぶん、同じ内容なら、他の人はメールで済ます。
その人も、悩んだ。時間は奪いたくない。
正直言えば、電話したかった。とっても。
電話できる、そう思っただけで心が躍った。
こんなことで電話でいいのだろうか、そんなことで電話するなよ、そう思われるだろうか。不安はあった。
でも電話できる、誘惑には抗えなかった。
電話していい、そう思うだけで、胸が高鳴って、他のことが手がつかなかった。
あぁ、これは恋だ。
恋って、こんなにも、抑えが利かないんだって、その時に悟った。
この歳まで、どうしてこんなに激しい恋をしなかったのだろう。
胸が熱くなって、嬉しくて目が自然と潤む。気持ち悪いけど、恋するとこんなに人は変わるのかと驚いている。
これが若い娘さんならどれほど可愛い感情だろうか。私はいい歳、みっともない。
電話するまでも、本当に浮ついていた。
ビジネスライクだ。下手すると一瞬かもしれない。
期待するようなことは無い、拍子抜けするかもしれない。
そう思って電話する。
声が聞こえた瞬間、あぁ、この人声だ。優しい声。
そこからはあっという間だった。別にプライベートな会話もない。淡々と。
心では長く続け、そう思っている。でも、その人が終わり、と言えば終わり。
でも自分からは、その人が切り上げようとしない限り、切る気はなかった。
もちろん、仕事の内容。
でも、その人のこの時間が、私だけのものだと思うと幸せでたまらなかった。
嬉しかった。時間は15分も続いた。
その人は私の気持ちを知らない。
自分を慕う、単なる後輩としか思ってもいない。
それでも15分、私に費やしてくれる優しさが愛おしい。
その後、ちょっとしたトラブルがあった。
また私が巻き込まれた。
その人は、忙しい合間に対応を考えてくれた。
何とか対応は終わった。
私が疲れ切って、その人に報告をした。
その人は優しい。
その人も巻き込んでしまったのに。
話は週明け聞きます。まずは今日すべきことだけしましょう。
嬉しかった。解決して終わり。
そう返すこともできた。
でも話を聞いてくれる、そう書いてくれたら、スッと心が軽くなった。
その人は忘れっぽい。
どうせ週末を挟んだら、全てポーンと頭から消えてしまうとはわかっている。
来週も忙しい、私に割ける時間は無い、終わったことは終わったこと、きっと話を聞いてもらう機会も生まれない。
でもいい。
返事を返してくれたその瞬間は、哀れな後輩を心配して、話を聞く、そう考えて返事をしてくれただけ。
その人が週末穏やかで、幸せに過ごせますように。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください