宛メとは? 宛名のないメールを続けていくために寄付をお願いいたします。

連載小説「Peace」#27 新たな道を切り拓く

カテゴリ

「天羽でも、そんなに緊張することあるんだな」
しきりにネクタイをいじる俺をみて、設楽先生が問いかける。
「ええ、まあ。」
「お前のことだから、いつも通りやればなんとかなるだろ。」
「そーそー!瑠唯ならきっとだいじょーぶい!」
明來も、後部座席から身を乗り出し、ぐっと親指を突き立てる。
今日は弁論大会当日だった。
「すみません、車出してもらっちゃって。」
「いいってことよ。これも仕事だしな。」
いくら仕事とはいえ、明來まで乗せてもらうのは完全な厚意でしかない。
先生も素直じゃないよななんて思っていると、少し笑えてきた。
「ってか、瑠唯のスピーチ、今日はじめて聞くんだよねー。」
「俺もだ。聞いた話だと、オーディションから内容変えたらしいな。」
「はい。少し不十分な気がして。」
3人で和気あいあいと喋っていると、時間と緊張を忘れることができた。
「着いたぞ。」
会場に入ると、大勢の人が集まっていた。
そのうちの1人と目が合う。と、瞳をらんらんと光らせて、『お前は覚悟があるか?』と言われた気がした。
その目に圧倒されていると、思い切り背中を叩かれた。
「なんか自信なくしてるみたいだけど、らしくなさすぎ!もっと胸張ってなよ!」
明來のきらきらした笑顔を見ていると、こっちも釣られて元気になる。
「ああ。行ってくるよ。」

俺の出番まであと2人になった。というのに、まだ緊張が収まらない。
何故こんなにも不安になってしまうんだろう。そう考えていると、ある結論に行き着いた。
あいつがいないからだ。
その瞬間、俺は待機部屋を飛び出し、あいつを探し始めた。
廊下、階段、空き部屋。何処を探してもあいつはいない。
「あ。」
ピンときた。

トイレに駆け込むと、鍵のかかった個室を見つけた。
俺は扉をよじ登り、中へと飛び込む。
するとそこには、今の俺より少しあどけない、自分の殻に引きこもった俺が居た。
「ははっ。お前のことなら俺が一番わかってるんだからな。」
お前は、自分の領域に踏み込まれることが何より苦手だもんな。
俺はニヤリと笑うと、腰をかがめて同じ目線に立った。
「いいか。今から俺は、自分の力で道を切り拓く。お前も来るか?」
お前はぽかんとした顔を引き締め、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「行く。」
「さすが俺だ!」
俺は扉を開け放ち、お前の手首を掴んで駆け出した。

226924通目の宛名のないメール
この小瓶にお返事をする

誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います

▶ お返事の注意事項

以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。

宛メのサポーター募集
お知らせ
お知らせ一覧
宛メサポーター募集 LINEスタンプ 宛メで音楽 宛メのアドバイザー石渡ゆきこ弁護士 宛メのアドバイザーいのうえちかこ(心理士・カウンセラー) 悩み相談ができる相談所を集めたサイト
宛メについて
お返事のこころえ(利用者さんの言葉) 宛メに参加している人たち(利用者さんの言葉) 宛メとの出会い(利用者さんの言葉) 初めての方 Q&Aヘルプ 宛メ、サポーター募集! 運営委員のご紹介 運営委員ブログ 特定商取引法に基づく表示 みなさんの情報について(プライバシーポリシー) お問い合わせ 運営会社
X・Facebook・Instagram
フォローやいいね!すると宛メの情報が届きます。
緊急のお知らせなどもこちらから配信しますので、ぜひ登録をお願いします。