「はぁ……。」
ため息を付くと幸せが逃げる、なんて書いてあった日本の本を思い出す。
日本、…瑠唯。
また、会えなかったな。昨日も一昨日も、ずっと待っていたのに。
―謝りたいな。あんなこと言っちゃったこと。
「どうしたの、アルビナ。何か嫌なことでもあった?」
「ううん、なんでもないよ。」
「そう?ならいいけど。」
お母さんはいつでも優しい。でも、こんな話できるわけない。
ただでさえ、お父さんとお兄ちゃんの分まで頑張ってくれてるのに。
「そうだ。昼ご飯食べたら、お出かけしない?」
「え?今外出たら危ないよ!軍人さんいっぱいだよ!」
あわてて止めようとすると、お母さんは微笑んだまま続けた。
「それがね、停戦になったのよ!ここ2週間は平和だから、安心しなさい。」
「本当!?やったぁ!」
突然の嬉しい知らせに、両手を挙げて喜ぶ。
もしかしたら、このまま停戦が続いて、お父さんたちも帰ってくるかも……!
部屋に入ると、くまのぬいぐるみのリリィが出迎えてくれた。
「リリィ〜。どうすれば瑠唯と仲直りできると思う?」
(ぼくもわかんないよ〜。)
「そっか。…そうだリリィ!あのね、停戦になったんだって!」
(おお!それはよかったね!)
一人二役でリリィとお喋りしていると、ふっと我に返る。
「あれ、平和って当たり前じゃなかったっけ…?」
「やっぱお出かけ大好き!」
「ふふ、それは良かったわ。」
……なんでだろう。なんだか嫌な予感がする。
「どうしたの?」
「いや、なんでも…、お母さん逃げて!!!!」
呆気にとられるお母さんの手を掴んで走り出す。
本当に些細なことだった。でも、私にはわかった。
あの音。あの光。
間違いない。あれはミサイルだ。
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