5年付き合った彼女と別れました。
結婚する月も決めていたけど、まだ好きな気持ちもあるけど待ち疲れたと。
貴方の優しさに甘えていてごめんなさい、根拠も何もないのに、ただずっと一緒にいれると思い込んで、勇気を出してもっとはやく伝えられなくてごめんなさい。
私のことは忘れて幸せになってください。
私は貴方と別れてから仕事を辞め引っ越しました。あの街は貴方との思い出があまりにも多すぎたので。ただ道を行くだけでも貴方との会話が思い出されるのです。思い出すと眼の奥がつんとなり喉がぎゅっとなるような、忘れてしまいたい思い出。
ふとした時に貴方の顔をぼんやりと思い出します。あんなにずっと一緒にいたのに、私の好きだった貴方の笑った顔をはっきりとは思い出せなくなってきました。
気力もなく片付けきれていなかった段ボールを開けた時、一生物だという触れ込みで買ったフライパンが出てきました。貴方が私の作る料理が好きだと言ってくれたこと、そんな貴方にもっと美味しいものを作ってあげたいと、一緒にずっと使っていけるものが欲しいと思って選んだフライパン。捨てるのも勿体なくてそれを使って久しぶりに料理を作ってみました。もう一緒に食べる相手も、作った料理何にでも美味しいと言ってくれる貴方もいないけれど。
忘れたいと願わなくとも時間が経つにつれて大好きだった貴方の顔や匂い、温かさも時間とともに忘れていってしまうのだと思います。貴方と過ごした時間、貴方と過ごしてとても楽しく幸せだったことの記憶はこのフライパンと一緒にずっと持っていようと思いました。
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