長いようで短い時間を旅してきました。
通りすがりの狼です。
狼の手が文字を書けなくなるトラブルがあり、浜辺から離れざるを得ない状況に陥っていました。
狼がいない間に、狼を見つけてくれた人たちはどうしていたでしょうか。もうここではないどこかに旅立ってしまったのでしょうか。
今日もたくさん泣く声が聞こえます。それと同時に小さな笑い声も。
今日もあなたの文字を教えてくれますか。
愚痴でも八つ当たりでも、自慢でも世間話でも。狼と文字を交換してくれませんか。
浜辺で海を眺めているあなたへ。
215539通目の宛名のないメール
お返事が届いています
通りすがりの狼
(小瓶主)
ゆのさん、初めまして。
まず、今日もお疲れ様です。毎日たくさん戦っているあなたに、狼の文字が少しでも癒しになりますように。
あなたに期待する方、周りにたくさんいらっしゃるのですね。その期待に応えようとして苦しんでいる姿は、すでに努力の証であると思います。
塾に行くだけ、と言いますが、塾に行くことはもう頑張っていることではないですか。本来はいかない選択肢もあるところを、始まりはどうであれ、あなたは続けているのですよね。狼は砂浜であてもなく歩くだけ。毎日同じところに通うなど無いですからね。感心します。
それに自分の情けなさに腹が立つなんて、なんてストイックなんでしょう。あなたは「自分はもっとできる」と高い理想をお持ちなのですね。最初は周りに言われたのかもしれない。けれどその期待を跳ねのけず、愚直に目指すあなたはとても強い人間。
今のあなたの現状が、あなたにとっての理想にも、周りの評価にも届いていないのかもしれない。けれど狼にとってのボーダーラインを、あなたはとっくに超えています。受験生としての自覚を持ち、周りの期待に応えようと努力し、その苦しみを他人のせいにしない。狼はそんなあなたを素敵に思います。
だから狼は願います。誰のせいにもしないあなただから、自分を責めることもしないでほしい。成績が振るわない日があっても、「今日は」ミスが多かっただけ。「明日は」今日罰だったところがまるであればそれでいい。明るく振舞えない時があっても、あなたが消えるわけじゃない。ただ「今日は」笑えないだけ。「明日は」自然と笑える日かもしれない。
あなたの夢を応援したい。でもあなたが夢に食われるくらいなら、狼が夢を食らいます。だからいつでもここへ来て、ここにたくさん涙を流して。笑って空を見てください。一度「行ってきます」と笑顔で言うために、ここで何度も「助けて」と言ってください。
「できる子」にならなくても、あなたはもう「やっている子」なのですから。狼がいる場所でよければ、休みに来てくださいね。
名前のない小瓶
はじめまして、ゆのと申します。
今絶賛勉強に追われる受験生です。
「あなたは出来る子だから」
と、偏差値の高いところへの受験のために日々勉強しています…。
と言いたいところですが、塾に行ったりするだけで全く努力しておらず、自分の情けなさに心底腹が立ち、自暴自棄になってしまいます。
本当はいい顔をして皆と明るく付き合わなければならない。
暗い顔をすれば担任が、「お前が笑わないとクラスの雰囲気が悪くなるだろう」
と言われます。
出来ない自分が大嫌い。
助けてください。
通りすがりの狼
(小瓶主)
三つ目のななしさんへ。
初めまして。今日もお疲れ様です。
トランプ氏は今、安倍元総理の件もあり一部で株が上がっているとはいえ、実際の政策には声をあげたくもなるものがありますよね。
願う反面、それを叶えられないとわかっている現実は、いつも残酷ですね。願っているのに叶わないのか、叶わないから願っているのか。人間の脳はひどく非情な進化を遂げているようにも感じてしまいます。狼は空を飛べない人間が、翼に憧れて空を見上げた歴史が好きですが。
新しい命が自身の中に宿る感覚は、何事にも代えがたい特別なものでしょう。その方がどんな言い方で、どんな表情で、お話しなさったのかはわかりませんが、それを願うあなたには言い表せないほど妬ましくも感じたのでしょう。
けれどもし、そのことであなた自身の価値を決めてしまっているのであれば、どうか思いとどまってほしい。子を持つ感覚を、狼も知りません。だから狼の言葉はただの慰めにもならないかもしれないけれど。
欲しいと思っているものほど手に入らない、のではなく、手に入らないからこそずっとほしいと願ってしまうものです。「諦めろ」とか「そんなことで」なんて言うつもりはありません。ただ時々、一歩引いて考えてみてほしい。子を持てばすべてが満足か。この世はそれだけではないのです。あなたはあなたの生き方で生きてほしい。素直な気持ちで祝福しなければならないこともありません。だって実際羨ましいのですから。けれどその人にない別の幸せを、あなたは持っているはずなのです。
現代は子がいない親だけでなく、親を持てない子もいて、その子を引き取ることができる制度まであるそうですね。狼たちは群れの中で生まれた子供は、みんなで世話をするのが当たり前でした。現に狼も父と母だけでなく、兄にもよく構ってもらいました。一年ほど経つと、狼も次の子供の面倒を見たりもしました。血のつながりなど、些細なことです。
あなたがあなたの幸せを掴み取れますように。
またお話ししましょうね。
通りすがりの狼
(小瓶主)
二つ目のななしさん。
ああ、あの時のななしさんですね。お久しぶりです。
狼がいない間でも、狼のことを考えてくれてありがとう。
狼は元気ですよ。ななしさんもこれからの季節、風邪などにかからぬよう。体を第一になさってくださいね。
通りすがりの狼
(小瓶主)
一つ目のななしさんへ。
お金の話はトラブルの一つとしてよく挙がりますよね。
「友達だから」貸してくれる。
「友達だから」返すのを待ってくれる。
「友達だから」返してと言いにくい。
「友達だから」許してくれる。
狼には不思議な響きに感じます。
友達だから、貸してあげる。
友達だから、感謝を持ってきちんと返す。
友達だから、返してくれる信頼がある。
友達だから、猶予を与えられる。
「友達だから」与えられることが当たり前ではなく、友達だから、与えてあげることができるのだと思います。助けてあげたい、いい関係でいたい。そう思えるからこその成り立ちだと思うのです。
あなたがその相手と関係を続けたいのか否か、その程度によりますが、「金の切れ目は縁の切れ目」とも言います。お金問題は大人になった時、大きな損害になる可能性があります。今回は離縁料ということで、今のうちに距離を取ってもいいのではないでしょうか。
あるいは関係を続けたいのであれば、「返すね」の言葉をもらうだけでなく、「今返して」の言葉を渡してあげられると良いですね。分割でも返してもらわなければ、後々同じようなことを繰り返しかねません。お友達だからこそ、礼儀はわきまえるべきだと狼は思います。
狼は最後まで人間を信じたいので、傷を受けても追いかけ続けてしまいます。けれど人間にとって金銭問題は蔑ろにできませんよね。狼の提案も頭の片隅に置きつつ、あなたの納得できるところで落ち着いてくれれば良いなと思います。
通りすがりの狼
(小瓶主)
ターニャさんへ。
お久しぶりです。また狼を見つけてくれてありがとう。
狼を怖がる人間は、ときどき狼に銃を向けるようですね。それでも狼はあなたがいるから、ここに来るのをやめられないのです。
またゆっくり歩いていこうと思います。狼の毛も生え変わりも終えつつあります。どうぞ存分に。
ななしさん
通りすがりの狼さん
はじめまして、こんばんは。
ちょうど、家という浜辺でネットの海を眺めていたところです。
狼さん、今は手の具合はいかがでしょうか?
大丈夫ですか?
今日もたくさん泣く声が聞こえる…
そうですね、まずはアメリカのトランプ氏が再び大統領選に当選したことで、女性のリプロラクティブ・ライツ(子どもを産むか産まないかの権利)がこの先いったいどうなってしまうのかが、気掛かりでなりません。
女性が出産するか否か。
これは、私自身の悩みにも関わってきます。
私は諸事情で、子どもを持つことが出来ません。
(当方、女性です)
先週、とある行きつけのお店の女性スタッフさんが、妊娠の旨をなぜか私に伝えてきました。
私は、素直に彼女のことを喜ぶことが出来ませんでした。
週が変わった今も、精神状態がどうにも安定しません。
行き場の、やり場のない思いで、胸がはち切れそうです。
ななしさん
最近この浜でお見掛けしないので
どうされているのかと思っていました
体調崩されていたんですね
どうか無理はなさらぬよう
ななしさん
友達がね金を借りたんだよ私から、なかなか返してくれないのだけど どうでもいい気持ちにもなってきましたね。くちではかえすかえすいうけどわかんないね
ターニャ
お帰りなさいふゆさん。
大丈夫でしたか?
すっかり寒くなってしまいました。
もふもふの恋しい季節です。
以下はまだお返事がない小瓶です。
お返事をしていただけると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。