ふと路地裏に入りたくなることはないかい?
私は今まさにそういう気分。
全然知らない道を抜けて知らない世界に行きたいんだ。
裸足で土を踏んで、慣れない空気を吸って、真新しい景色を目に焼き付けたい。
初夏の昼下がり、秋の夕闇が迫る頃、桜の季節の早朝にこの衝動はますます強くなる。
冬はないのかって今思っただろ?
冬はね、雪が積もるだけで私にとっちゃ異世界なんだ。
だから全くないわけではないけれどあんまりないかな。
そうそう、一度日が完全に落ちてから行き先を知らないバスに乗ったことがある。
秋の終わりだった。
外とほんの少し窓ガラスに反射した自分を眺めながら、2回元の道から曲がったら帰り方が分からなくなるから降りようと思ってしばらく身を委ねていた。
心地良かったよ。
バスに揺られている間ずっと「東京荒野」という曲が頭に流れていた。
闇に惑う私に、永遠の愛の在処を って一節が好きなんだ。あまり知られてはいないみたいだけれど良い曲だから是非聞いてみてほしい。
話を戻すと、その時はすぐ元の道がどこなのか分からなくなって真っ暗な中半泣きで帰る羽目になったのだけれどね。笑
でもそれを差し引いてもとても解放感があったからまたいつかやるかもしれない。
あとはだいぶ昔のこと、近所の小さな森に無断でよく入っていた。
今思うと私有地の可能性が高いし、明らかに小さい子が行くには危なすぎる場所だったなあ。
入れる場所が高台の方しかなかったからか、進んでも進んでも道なき道って感じだったし、文字通り横側の一寸先はほぼ崖だったんだよね。
人通りもほぼ0だったし、ちょっとでも足を踏み外したら終了だったのではないか。
幼少期は怖いもの知らずだったので雨の降った直後でも構わず行ってた。
道が細くても近くの木に掴まっていれば落ちないだろうという安直な思い込み、ああ末恐ろしい。
私自身は運良く一度も落ちたことはないけれど、パラレルワールドの自分は一人くらい落ちていそうだ。
背の高い木々の中、上の方では鳥が羽ばたいていて、眼下ではたまに地面に座って読書をしている大人が居た。
うーん、あの人たち所有者だったのかな?
少なくとも子供目線では下の方に降りる道は見つけられなかったし、ちゃんとした入り口を知っていたのかもしれない。
林というか山?の所有者にしては随分と若かったような気はしなくもない……。
地に足がつく下の方に入れていれば落ちる危険は確実になかったけれど、私は狭い崖っぷちをいつも通っていて良かったと思う。
だってそっちの方が歩く目的では確実に楽しかったでしょ?
とはいえ私有地だったら大変申し訳ない……。
そう、私有地だったらとか安全性とか考えると今じゃこういう無茶はあまり出来ないんだよね。
野良猫の跡をつけようにもすぐ人の敷地に入ってっちゃうし。
まあ、だからこそ余計にやりたくなるのだけれど。
将来は自然豊かで探検しがいがある場所に住みたいな。
皆も良ければ変なところに入り込んだ経験とか書いてってほしい。誰かのそういう話聞くのもすごく楽しいからね。