ノマド side
“人に優しくすると自分に返ってくる。人に必要とされて、人を必要とする人間になりなさい”
『今は国民に必要とされていて、お前等、、、ノマドを必要としているんだ』
昔言われた事を復唱した目の前の人間は誇らしげで、其の裏には哀愁が漂っていた。
ノマド「、、、其の父さんは何処に居るの?」
『、、、今は少し離れた国に居るよ』
途端、目の前の人間の表情が曇った。
『仕事が忙しいらしくてな、もう何年も顔を見ていない』
そう言いながら少し怒気を含んだ笑顔を浮かべた。
この人間も、寂しいのか、、、其れとも其の父親が何か彼の心に残る”もの”を残したのか。
目の前の人間では無いから分からない。
何を思っているのかも、何を考えているのかも。
だけど、この人なら信用しても大丈夫かもしれない、とふと思った。
俺の事を思って、此処まで来て俺の話を聞いてくれた。
俺を優しいと褒め自分のことを話してくれた。
一人で居る事に恐怖を覚え、俺や皆を必要とした。
この人ならきっと期待以上の事をしてくれる筈。
俺や皆を救ってくれる筈。
俺や皆を親の束縛から解き放ってくれる筈___
ノマド「そっか、アンタが優しいのは其の父さんのお陰なんだね」