うつ病の予後
うつ病は治療を始めればすぐに治療が終わるというものではありません。骨折など病院に通う必要のある身体疾患と同じように、治癒していく過程にはある程度の期間が必要になります。治っていく経過も、良くなったり、悪くなったりという小さな波をもちながら、階段をゆっくりと1段ずつ上るように改善していきます。そして、うつ病の多くは、以前の元気が回復している状態=「寛解」状態を迎えることができるとされています。
治療の期間は、「急性期」、「回復期」、「再発予防期」と大きく3つの期間に分かれると考えられます。急性期に特に重視したい治療方法が休養および薬物療養であり、回復期や再発予防期では薬物療法および精神療法・カウンセリングといった治療方法が重視されます。
「うつ病を引き起こす原因はひとつではない」ので、3つの期間がそれぞれどれくらいの時間を要するかは、状況によってたいへん幅があります。急性期が1か月~3か月、回復期が4か月~6か月、再発予防期が1年~、というのが典型的なうつ病の場合の大まかな目安となります。もちろん軽症で早期に治療を開始した場合には、より早く再発予防期に移行することが可能となります。生活習慣病と同様、早期に対応することが重要であることは変わりありません。
最後に大切なことをひとつ述べます。それは「元気が回復してもすぐに薬は止めない」ということです。「回復期」の途中で寛解の状態を迎えます。その時自己判断で薬を止めてしまう方が珍しくありません。その結果、せっかく寛解まで来たのに再発してしまうことがあるのです。薬を減らしていくタイミングは主治医によく相談することが大切です。長期の服用は心配だと思いますが、心配な点は主治医にも伝え、根気強く「再発予防期」を過ごすことが大切で