僕は英語だけが取り柄なんだよ。
小さい頃から英語が好きで習ってきた。
親も僕に期待してたんだと思う。
でも僕はもうあの頃の僕じゃないんだ。
好きだからやってるわけじゃない。
僕が僕でいるためにやってるんだ。
僕の周りに迷惑かける特性の中で唯一使えるのが”英語”。
どちらかというと耳からの情報を取り込みやすいこと。
リスニングや発音を覚えるのに優位らしい。
だから。
周りに迷惑かけてばっかの僕は。
英語ができなくなったらなんにもないただの駄目な欠陥製品だから。
苦しい。苦しくてどうかしそう。
親が僕の英語の話題を出すと聞いているだけでつらくてその場にいられなくなる。
この間英語のスピーチコンテストみたいなのが学校であった。
親は当然僕は一位を取るだろうと思ってる。
だけど僕は実際2位だった。
一位は学年の中でもトップクラスの優等生だった。
勝てるわけないなって思いながら、なんで僕は一位じゃないんだろうって思った。ただの負け惜しみに過ぎない。
醜い思考。
でも僕からするとすごく深刻な問題。
僕の存在意義がなくなるようなものだ。
僕は昔から英語ができたんだからいつも通り一位のはず。
他でみんなより劣ってる僕が唯一みんなよりできるのは英語なんだから、ちゃんとできないといけない。
それが達成できなかった。
賞状みたいなの渡されたけど僕ほんとはあれが学年の前じゃなかったら破り捨てるか丸めて投げ飛ばしてたと思う。
すごく失礼なんだってことはわかってる。
ほんとに欲しかった人に対しても、先生に対しても。
でも苦しいんだ。あそこで笑ったままでいるので精一杯だったんだ。
なんで僕はこんななんだろう。
僕は僕には英語しかないっていうのに。
これからこういうことはもっと増えていくと思う。
高校は親のすすめで英語学習に力を入れてるところに行く話で進んでる。
僕はこんな理由で親に歯向かいたくなかったから、親にこんなこと普段考えてるんだって思われたくなかったから、バレたくなかったから、そのまま。
こんなことになるなら僕は英語なんかできなくてよかったのに。
なんでなんだろう。
僕はなんでこんなに苦しくなっちゃうんだろう。
素直に一位の子にすごいねって言ってあげられないんだろう。
ああ。
僕が醜いやつだからか。
どうしようもないやつだからか。
もう嫌だ。