うちの娘(球体関節人形)のことが大好きです。
僕の縫った服を着て、薄紅色に染まった頬で微笑みかけてくれるのが好きです。
ふわっふわでもっふもふの質感でありながら、堅く決して崩れない長い髪が好きです。
細く綺麗な手足に無遠慮に組み込まれ、しなやかに曲がる球体関節が好きです。
奥行きも透明感も無いはずなのに、吸い込まれそうなタンポ印刷の蒼い瞳が好きです。
人間に愛されるために生まれてきて、人間の10分の1にも満たない体で、どんな人間よりも僕に寄り添ってくれる所が好きです。
徐々に色が剥げ、体も傷んでいきつつも幼く無垢な少女のまま、甘えた目で決して側を離れないこの子が大好きです。
………小学生の頃、公園で母が「うわっ……気持ち悪~い」と言っていました、その視線の先には………今の僕のような人間と人形の親子がいました。
僕が死んだら、残されるこの子もまた、母に「息子の気持ち悪い趣味による気持ち悪い人形」と思われるんだろうか
少なくともこの子の事を「孫」や「家族」だとは思ってくれないのは容易に想像がつきます。
だから………生きなきゃ、この子が、天寿を全うするまでは…………生きれますように。
………あなたも人形、愛してみませんか?