私の実家に帰り、二駅向こうの神社で子供達の七五三を終えた帰り。
息子が、
「しょうぼうしゃがみたい!」
と言うから回り道。
消防署の前を通ったら、シャッターが開いていて、消防車と救急車が見えた。
それを見て興奮する、息子。
興奮が収まったので、そのまま帰ろうとしたら、今度は娘が、
「かいだんをのぼってかえる!」
と言い出す。
消防署の横の階段を昇ったところには公園。
「家に帰るのが遅くなるから、遊んじゃダメだよ?」
と言い聞かし、階段を昇りかけたら、
「ねぇねぇかあさん!かあさんさ、ここ(消防署)のいちばんうえまでいったことがあるんでしょ?」
と前に話した武勇伝(?)を持ち出す娘。
横にいた私の母は目を丸くする。
それは、私が小学生くらいの頃。
消防署の裏の階段を、音をたてずにそーっと昇り、屋上まで上がって、周りの景色を見るのが、友達の間で流行っていた。
一人で昇って、よく景色を満喫した。
その頃は高い建物が少なかったから、海が見えた。
それが楽しかった。
「ねぇ、みつからなかった?」
と娘。
「多分ね、見つかっていたけど、見逃してくれたんじゃないかな?」
あの時のスリル。
ワクワク感。
そして、景色を独り占め。
それはもう戻れない日々なんだな…
と思うと、淋しくなった。