さっきまで、布団を何度も蹴っていた。憎しみを込めながら。
何に対しての憎しみか。今まで生きてきて、俺をバカにしてきた全ての人たち、俺に対して嫌なことを言ったり、してきたりした全ての人たち。
そして、そんな人たちに対して何一つやり返さずに黙って耐えていた自分自身への憎しみだ。
まるで100メートル走でもしたのかというくらい、激しい息切れが起きた。
そんな人たちのことなんてもう忘れてしまえばいい。きれいさっぱりと記憶から消し去りたい。きっともう考える必要もないことだ。
それなのに、気が付いたらまた思い出している。あの時思いっきりキレて、仕返ししてやってもよかったのに。それすらもしなかった自分は弱い奴だって、そう思いながら布団を蹴っていた。
俺は自傷行為もしたことはないし、誰かに対して暴力をふるうこともない。その分、物に当たり散らしてしまう。
この怒りや憎しみを、何か自分で立てた目標に思いっきりぶつけられれば、きっとものすごい結果が出る筈なのにな。
「どうせ自分には無理」
「あの時できなかったんだから、また同じように失敗して自信なくすだけでしょ」
そんなことを自分の中の弱い自分が言い始める。
本当は、俺だって、もっと立派に生きたいのに。誰から見ても「すごいね」「さすがだな」って言われるような、立派な人間になりたいのに。
本当に情けないなあ。