宛名のないメール

少しだけ前を歩いていたはずの君の背中はもう見えなくなった｡

一緒にスタートした君は私を置いてどんどん先に進んでいった｡

後からスタートした君はいつの間にか私を追い越していた｡

先に行った人には追いつけなくて､
後から来た人には追い越されていく｡
隣にいたはずの君はどこか遠くへ行ってしまった｡

近くの人の背中を目指しても､前に進むことはできなかった｡
そして近くにいた人は振り返ることもせず前に進んでいった｡
私の手はまた届かなかった｡

沢山いる人の中で私だけが
いつまでも成長しないで､
ここでずっと立ち止まっている｡
いや､もしかしたら逆方向に行っているのかもしれない｡

私はあとどれだけの人に追いつかれ､そして追い越され､
前に進めない自分に対して惨めな気持ちになればいいんだろう｡

もう君はゴールにいるのかな｡
(課題･目標を達成したのかな)

それとも休憩所で一息ついてるのかな｡
(最終的な目標より前の小さな課題･目標を達成したのかな)

ごめんね｡
こんな訳の分からない小瓶を流してごめん｡
聞いてくれてありがとう｡

【りな】

179005通目の宛名のないメール

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お返事が届いています

【りな】

（小瓶主）

めでゅへ
ゴール､できるといいな。　
うん､誰のことも置いていかないよ｡
私は歩くのがすっごくゆっくりだし､誰のことも置いて行きたくない｡めでゅも置いてかないでいてくれるの嬉しい｡

私にとってもめでゅは私にとっても一緒にいると安心できる大切な人､いつもありがとう｡

【りな】

（小瓶主）

笑夢へ
ありがとう｡
一緒に歩いてくれるの?
多分すごく遅いけれど許してね｡
置いていかないって言ってくれて本当にありがとう｡

【りな】

（小瓶主）

カンタレラへ
おかえり､待ってたよ｡
憶えてるよ｡
忘れるわけがないよ｡
生きててくれて本当に嬉しい｡ありがとう。

うん､一緒に行こう｡
私も歩くのが遅いから心配しないで｡
手を繋いで､疲れたら休憩して､ゆっくり行こう｡
ずっと一緒だよ｡
一緒に歩いてくれるって言ってくれてありがとう｡

ななしさん

りなさん、ただいま。

自殺を諦めて、死の淵から上がってきて、久々に宛メを開いた僕は、あなたの小瓶で、とても救われました。

憶えてますか？
カンタレラっていいます。

ありがとう。

本当にありがとう。

だから、これから、一緒に歩いてくれますか？

手を繋いで、時々、そのへんの自販機でサイダー半分こしたりして、休憩しながら。

りなさんは、多分僕より歩くのが早いだろうから、足手まといになっちゃうかもしれないけど、それでも良いなら、一緒にいたいな