子供の頃から妙に虚無的だった。
親にしつこく叱られなじられ叩かれて、
顔ぐしゃぐしゃにして腫れるまで泣いて、
泣いてることすらなじられて、
もう頭の中もグシャグシャで、
ものすごい憎しみに駆られても相手が親だと何もできない。
そんな最中、ヘンなことを覚えてしまった。
心を切り離す。
ものすごく激しく叩かれているとき、
ひどい言葉をギャンギャン浴びせ続けられている時、
心だけ一歩うしろに下がる感じ。
そうすると激しい嗚咽もすっと引いたりする。
ギャーギャー喚きたてる母の声を意識からシャットアウトして、
(耳を塞ぎたかったけど、そんなことしたら余計に殴られるから耳の奥をぎゅっと閉じるようにしてた)
心の中ではすごく冷めた自分が「めんどくさくなったら死んじゃえばいいんだし」
「今、感じてる悔しい気持ちも悲しい気持ちも恥ずかしい気持ちも全部、死んでしまったら無くなるんだし」
そんなふうに考えていた。
どんなに今が恥ずかしくても悔しくても辛くても、
どうせ死んじゃえばこんな気持ちもなくなる。
今だけやり過ごせしてればいいんだ。
この通言葉のとおりに考えてたわけじゃない。
何せ子供だったから。
でも内容としてはそういうことを考えていた。
いまだに私は虚無感から逃げられない。
「どうせ死んじゃうんだし」と思う。
だから楽しむってことがよくわからない。
どんなに楽しいことを探したって、頑張ってみたって、
死んでしまえば関係なくなるんだし。
生きてることも意味がない。
もう空気のように消えちゃいたいな。