今日は自宅から1時間半ほど電車に揺られて隣の県まで来た。
理由は全然たいしたことじゃなくて、普段ならもっと「断然行かねば」って思える理由がないとこれほどの距離は出掛ける気にならないんだけど、最近本当に何にも楽しくなくて、腐りきってしまいそうだったから行ってみることにした。
まず道中少し遠回りをして、小さい頃よく乗った古い電車に再会した、ここに走ってるのは知ってたんだけど、嫌になるほど乗ったのでそれだけの為にいくほどの物とは今まで思えなかったんだ。
乗ってみると今の電車よりすごく乗り心地が悪い、プシューっというドアが閉まる音、走り出すときに激しくガクンっと揺れる感じ、床下からうるさく響くモーターの音、古くなった家や家具のようななんともいえない臭い、全てが色んな記憶を呼び起こしてくる。
交通事故で亡くなった親友と遠出したときの事、高校時代、普段は自転車登校 だったけど大雨で電車を使ったら湿気と人の多さで蒸しパンになりそうだった事、家族旅行の帰りに疲れてるのに立ちっぱなしでうんざりしたこと。
物思いに耽りながら終着駅に着くとそこでローソンに入った、店内キッチン付きのローソンでしか売ってない弁当や調理パンが大好きで、もちろんここもそれが売ってると事前にリサーチ済み。
作りたてのサンドウィッチと野菜ジュースを買うと、近くに桜が植わった公園を見つけて腰を下ろした、ああ、やっと今年も桜が見れた、この時期はどうしてもこういう時間を過ごさないと気が済まない。
これも小さい頃、楽しくピクニックをした思い出があるからなのかな、でももう、一緒に行ってくれる友達はいない
死んじゃった者
ブラック企業に押し潰されて壊れちゃった者
遠くへ引っ越して向こうでもっと仲の良い子に出会えた者
側で支えてあげたら物凄く元気になって僕の事など忘れてどこかへ行ってしまった者……
とにかく自分の親友だった人たちは思い思いの理由でみんな側から居なくなってしまった。
桜の花の真下に来るベンチでサンドウィッチを頬張り、イヤホンで松任谷由実の「春よ、来い」を流した、あの頃が自分の春で、今が冬だとしたら、またいつか春は来るんだよね?どうか、そうであってほしい、その前に死んじゃいそうだけど。
その後はまた少し移動して、とあるメーカーのイヤホンのお店に来た、知り合いが言っていたちょっと珍しいイヤホンがここにあるらしい。
普段、イヤホンに全くこだわりはないんだけど、そのイヤホンはそこそこの低価格で人の声と距離感をリアルに伝えてくれるらしい。
寂しさから人がしゃべったり囁いたりする動画を時々聴いている自分にはちょうどよかった。
メーカーの本社ビルの中にあるお店で、目眩がするほどお洒落で、緊張したけど、優しい店員さんに出迎えられ、無事にブツを購入した、レジ袋の代わりにミニトートバックまでついてきた、嬉しい。
家に帰って早速イヤホンで色々聴いてみる、音楽を流せばボーカルの声だけをしっかりと拾い、キンキンした歌声には丸みがついてしっとりと優しい雰囲気に変わった。
側でささやいている風の癒し動画とかは声の主がいつもより5センチくらい近くにいるように感じるし、特殊構造で耳の中で本体がズレてもノイズが全くしない。
いいイヤホンだ……そう思っていたら、箱から出しただけなのに、もうコードに0.5ミリくらいの爪痕のようなものがあって、そこを境にコードに折り癖がついてしまっていた。
どうやってもそこでコードが曲がってしまい、負担が集中する……このままじゃ、そのうちすぐ断線しちゃう……。
修理保証とかはあるけれど、自分で梱包して送らないといけないし、物理的な傷なのでメーカーのせいなのかこちら側のせいなのか証明できる物もない……。
こういうの慣れないしよくわかんないのに、勇気だして買ったのにな、安いとはいえ自分がいつも使うイヤホンの倍の値段したんだけどな……。
ああ、いい一日だったのに、最後の最後で辛くなってきた、今夜もよく眠れなさそうだ。
どれだけ取り繕っても、平気なふりをしても、つらいなぁ……もう生きたくないなぁ……。