LINEスタンプ 宛メとは?

随分お久しぶりになりましてすみませんm(_ _;)m 第一時世界大戦の小説書きました!ぜひぜひ(⌒▽⌒)

カテゴリ
皆さんこんにちは!

そして、お久しぶりです。

元気にしていてくれましたか?

私はとても元気でした!(*^ω^*)

ではではさてさて、本題に入りましょう。

今、社会で第一次世界大戦の絵本を作る活動をやっています。

そこで、私が脚本を務めた絵本?小説をご紹介しようと思います!






無名人(むめいびと)
1914年6月28日、サラエボの市街地に鳴り響いた銃声によって世界の均衡は崩れ去った。



ここは戦争に備え人々が目まぐるしく交差するドイツの街、『カノターウォ』
家族を養う為に兵士をしているが、戦争なんて馬鹿げていると思っている。
だが、この戦争には絶対に勝つらしい…いや、当たり前だけど絶対に勝つって言われてる‼︎
勝ったら賠償金もたんまり搾り取れるし、領土もたくさん手に入る。
そうしたら、少しは家族を楽にしてあげられるかな…
上層部は下にはあまり情報を回さない。
だから、いつ前線に立たされるか分からない。それまでに少しでも安全に暮らしていけるように頑張っていかないと!
…まぁ、人一人にできることなんて大した事でも何でもないことなんだろうけど。

「おい!お前大丈夫か?今にも世界が終わってしまうみたいな顔してっけどよ⁉︎」

「あぁ…先輩。まぁ…大丈夫です。
あの、先輩その、上の人達からなんか聞いてますか?
いつ前線に出される事になってしまうのか…とか」

「お前なぁ、どこで上の者の見張りが聞き耳立ててるんだかわかんねぇんだぞ⁉︎言い方には気をつけろ!
…ただ、これだけは断言できるってことがある。
今領土争いのターゲットがバルカン半島なのは知っているか?」

「あの、ヨーロッパの火薬庫と言われる⁉︎そんな話聞いたこともないですよ?」

「当たり前だ。バルカン半島の存在をロシア・ドイツ・オーストリア・イギリス・イタリアの5カ国はもみ消そうと必死だからな。バルカン半島はいわゆる勝利の女神に微笑んでもらうためのチケットだ、先に手に入れた者が勝者となる。」

「そん…な
もしかしたら、そこに立たされるってことも?」

「…そうなるな。
そのために今手段を選ばずにいろんな武器を使っていろんな作戦を立ててアホみたいに必死こいてるんだよ。」

「そんなことのためだけにこれからどれだけの人が犠牲に…」

「さぁな、知ったこっちゃねぇんだろ、お偉いさん方にとっちゃ。
それか、それだけ重要すぎるってことなのかもしれないが…」

それからどれぐらいたっただろうか、戦争の苦しみにひっそりと紛れる不穏な気配に騒々しい街の音も聞こえないぐらい絶望していた。

『ドイツがこの戦争で負けるなどありえない‼︎』

大きな図太く不快な声が耳に飛び込んできて我に帰った。

「何が『絶対に負けない』だ、兵士のことは物ぐらいにしか考えてない癖に…人の気も知らないで…」

なんとも居心地の悪いその街から目を背けるように大勢の人々の間を縫って
足早に裏通りに逃げた。


一ヶ月後
参謀本部のお偉いさんが想像していた以上に戦争は激化した。前線で戦う日が来てしまった…
もし戦場で死ぬなんて事になったら…考えただけで震えが止まらない。
震えているのを悟られないように慌てて胸元の家族写真にGew98を押し当てた。(ゲヴェア)

「まだ、何も家族にしてあげられてないのに…」

「君も家族のために兵士になったのかい?」

固い軍靴の音が似合わない、優しそうな青年が声をかけてくれた。

「あなたは?」

「これは失礼。私は…おっといけない。あまり人に干渉する人は戦場ですぐに死んでしまうからね。
う〜ん、どうしようかな…そうだ!僕、昔は生物学者でね“先生”って呼ばれてたんだ!
だから君も僕のこと先生って呼んでよ!」

「わかりました!“センセ”」

「君、歳はいくつ?」

「18です」

「若いんだね!じゃあ君は『青年』って呼ぶよ?」

「わかりました」

その後、出撃までの時間先生といろんな話をした。先生にはカレンという娘とジェニファーという奥さんがいること、小さな妹と病弱な母がいること、父は4ヶ月前、敵陣地の偵察に行ったきりかえってこなかったことを話した…
二人の間に重苦しい空気が流れる。口を開こうとしたその時、戦争の理不尽さに胸を痛める暇などないと言わんばかりの集合ラッパが響き渡った

『これからバディを組んでもらう。バディが死んだら報告をしろ。基本、戦場でもバディと組んで行動してもらう。』

「もちろん、青年とバディだね!よろしく〜」

「先生、足手まといかと存じますがよろしくお願いします!」

こうして二人で戦場へでる事になった…

しばらく軍用トラックに揺られ、降り立った場所はまるで違う世界だった…
銃弾や爆弾の雨の中に、敵か味方かすらわからない悲鳴、怒号が響いては消されていった。
周りの人たちがどんどん減っていくのが見なくてもわかった
死にたくない、足を止めれば次は撃たれる
怖い、痛い、熱い、痛い…そんなことを考えているうち
「ぐぁぁぁっ」と聞き覚えのある声が聞こえた
無意識に後ろを振り返ると、あるはずの先生の姿が見えなかった。
先生はそこら中に倒れている人々の中に…血まみれの姿になっていた…
後ろを警戒しつつ先生の元へ行き、先生を連れて隠れられる場所まで逃げた。
先生は肩を撃ち抜かれていた。

「青年、ありがとう。君は…君だけは生きてくれ。家族にあって僕の分まで幸せにしてやれ。頼んだぞ」

「はい…」

そういうと先生はピクリとも動かなくなった。

銃撃戦が弱まるまで先生の遺体を守った
敵が襲いかかってきたら無我夢中に戦い、手持ちのナイフで刺し殺した。
あの、思い出すだけで吐き気がするような、肉を切り裂く感覚は今も指先の神経に絡まって離れない。
そんなどうしようもない罪悪感に押しつぶされながら先生をおぶり、やっとの事で見つけ出した先生の家へ向かった。
奥さんに会わせたかったのかもしれない。家族を愛していると話をしてくれた事を聞かせたかったのかもしれない、
でも、ただひたすらに謝ることしかできなかった…

先生は短かったとは言え、もうとっくに大切な仲間になっていた。
先生といると、あんなに不安で押し潰されそうになっていた心が、軽くなって、楽しいことしか考えられなくなった…
そんな大切な人が、あんな一瞬で目の前から消えてしまうなんて…

「やっぱり戦争は理不尽すぎる…どうして…どうしてあんなに良い人が死ななきゃいけないんだ…」

辛すぎる現実を背負い、家に帰ろうとしたが…足がすくみ家族の待つ我が家へ帰ることが怖くなった。
その日は、飲み食いせずに永遠と続く忙しないドイツの街を歩いていた。

途方もない時間が経った頃ように感じられる。
もはや、どこをどう来たのかも分からない、お腹も空いているのだろう、喉もカラっカラに乾いているのだろう。だが、その感覚すらない…ついに力付き道端で倒れてしまった…

〜ヴェカーヴォ村〜
目が覚めると、木製の高すぎる天井が見え、美味しそうな匂いがした。

[あぁ、やっと目ぇ覚めたんべか?]

「あの…もしかして道で倒れているところを助けてくださったのでしょうか?」

[んだ。あんた名前は?どこさから来た?]

「カノターウォという街から、名前は…」

名前を言おうとした時、先生が言っていた言葉を思い出し、偽名を使い別人を演じる事にした。

「名は、ナイトとでもお呼びください。ところで、あなたは?一体ここはどこなのでしょうか?」

[ここは、ヴェカーヴォっつぅ、片田舎だべさ。辺鄙なとこだが住みやすくていいとこだ。
俺はギルバート。この村で一応だけんど、村長してんだわ。]

「そうですか。この御恩は忘れません。あと…厚かましいとは思いますが…しばらく置いてもらうことはできますか?」

[俺はかまわねぇけども、家族が心配するで?]

「家族は…全員亡くなりました…」

[そうか…すまなかった
そだことなら好きなだけいていいで!
何んせワシも独り身なもんでね、へへ
これからよろしく頼むよナイト]

「何から何までありがとうございます!」

こうして“ナイト”として別の人生をヴェカーヴォ村で過ごす事になった。


あれから5年、あの日以来戦場には行っていない
どうやら先生と一緒に戦死した事になっていたらしい
まだ生きていることは家族も知らない
そのおかげで戦場には呼ばれなかった
それでもあの日の感覚は昨日のことのように残っている…
終戦はしたが国内で帝政打倒の改革が起きドイツは…負けた
ありえない敗北だ…でも

「もう、怯えて暮らす必要はなくなるんだ。これで、よかったんだ…よな」

この戦争で負けたことで、ヴェルサイユ条約で大量の賠償金が課せられたドイツはおかげで金欠。
ヴァイマル条約のインフレでマルク紙幣は紙クズ同然。そこらで燃やしている人もいた…
さらに、ドイツの領土は連合国に全て奪われた…あげくの果てには軍備も大幅に制限されてしまう始末…
家族は大丈夫なのかな…そろそろ帰らないと、いい機会だしな。

「ギルバートさん、あの…突然ですが帰る事にします。」

[なんかあったんか?]

「いえ、戦争も終わりましたし、家が荒らされていては困りますしね。」

[そうか。気ぃ付けんだぞ。なんかあったら戻ってこ!俺はいつでも歓迎だかんな‼︎]

「本当にありがとうございます。」

こうしてナイトとしての仮の人生に“は”幕を閉じた。


何日も歩き続け、ようやく故郷の街へとたどり着いた。あの頃と何も変わらない街並み、記憶のままの我が家。記憶に深く刻まれている風景に心の底から安心する。
庭にいる二人の女性に声をかけようとするや否や…

「おにぃちゃん‼︎お帰り‼︎よかった!生きてた!お母さん、おにぃちゃんが生きて帰ってきたよ‼︎」

「あぁ‼︎夢じゃ無いのかい?これは夢じゃ無いのかい⁉︎」

「夢じゃ無いよ!心配かけてごめん。本当にごめん」

「いいの!おにぃちゃんが5年ぶりに帰ってきてくれたんだもん!」

「あぁ、そうとも。私達はお前が戦死したって聞いてたもんだから、毎日お前を迎えに遺体安置所まで通ったんだ、でも一向にお前が来ないから、きっとどこかで生きてるに違いないって、ずっとここで待っていたんだ!」

「ありがとう母さん!ありがとうリタ!」

そう言うと、深々と頭を下げた

「親不孝者ですが、これからも一生涯よろしくお願いします!」

「もちろんだよ。ほら、頭をお上げ。一緒にご飯にしよう、久しぶりの家族でのご飯だ!」

「おにぃちゃんの話、いっぱい聞かせて!」

こうしてまた、いつも通りの生活に戻る…はずだった。


「いってきまぁす!」

そう言って家を出て、日課の薪集めに行った。

「今日はやけに穏やかだな…」

雲もなく、鳥もいない、ただ風が包み込むように吹き込んでくる…
嫌な予感がした…
その予感は的中した。
早めに家に帰ってみると誰もいなかった。
いや、正確には誰も生きていなかった…
部屋は荒らされ、あたりにはリタと母さんの鮮血が四散していた。
身体の力が一気に抜け、膝から崩れ落ちた。

「金目のものがなかったから腹いせにか?
それとも、盗んでいるところを見られたからか?」

やけに落ち着いていた…
泣くことさえしなかった。いや、できなかったんだろう。
そのまま、静かにリタと母さんの死体や家の中を片付けた…
あの悪夢のような日が今まで以上に、血塗られて映し出された。
手が震えて、動けなかった…

「まただ…」

数日、部屋にこもってただ、ぼーっとしていた。
ふと窓に目をやると、昔父さんに作ってもらって、リタとよく遊びまくったブランコが見えた。
それと同時に、一粒、二粒と涙がこぼれてきた。

「リタ、母さん、父さん。ごめん、ごめんなさい...」

それから一日中、子供のように声を上げて泣きじゃくった。涙が枯れ果てるまで…


次の日
もう、この人生を生き続けるくらいなら…
だから、ベンジャミンとしてこの家で新しい人生を生きていく事にした…
今までの思い出が見えないように、出てこないように…
でもそう上手くはいかないのが道理。

インドのガンジーは、イギリスの支配に抵抗した。
イギリスでは、エメリン・パンクハーストが女性参政権を認めさせるための活動を始めた。
そのほかにも、世界各地で自由と進化を求めて、行動を起こしている。
なのに…なのに逃げてばかりの行動がつくづく嫌になってくる…

「もう、いっそ…殺される方がマシだ…」

自分で自分をどんどん先の見えない真っ暗闇に突き落としていくようだった…

そんなことを、考えなかった日は無い。

ある夜、物置でガダダンッという音がした。
おそらくまた、泥棒だろう…
蝋燭を持ち物置へ行くと、人がいた。
でも、泥棒のような身なりでは無く、あの時着ていた軍服にとても、すごく似ていた。
もう少しよく確認しようと近づいた。

「えッ…」

似ているではなく、それは、紛れもない軍服だった。
それも上層部の、勲位が高い人だけが着用するバッジが、蝋燭の火に優しく、そしてはっきり映し出された。

『くそっ!見られたか!』

「どうして…」

『うるさい‼︎』

そういうと、軍人は腰に付けていた拳銃を突きつけ引き金を引いた…
その玉はちょうど左胸に当たった…
その場でばたりと倒れたが、痛みは感じなかった…
軍人は何のためらいもなく足早に去っていった。
じわじわと、床に血が滲み出ていくのがわかる。
温かくて、冷たい…
段々と意識も遠のいていく…
感覚も無くなってくる…

あぁ…死ぬのか
あっけないな…
でも、今まで周りの人に迷惑しかかけなかった報いだというなら…

あぁ…


無名人
1914年6月28日、サラエボの市街地に鳴り響いた銃声によって世界の均衡は崩れ去った。



ここは戦争に備え人々が目まぐるしく交差するドイツの街、『カノターウォ』
家族を養う為に兵士をしているが、戦争なんて馬鹿げていると思っている。
だが、この戦争には絶対に勝つらしい…いや、当たり前だけど絶対に勝つって言われてる‼︎
勝ったら賠償金もたんまり搾り取れるし、領土もたくさん手に入る。
そうしたら、少しは家族を楽にしてあげられるかな…
上層部は下にはあまり情報を回さない。
だから、いつ前線に立たされるか分からない。それまでに少しでも安全に暮らしていけるように頑張っていかないと!
…まぁ、人一人にできることなんて大した事でも何でもないことなんだろうけど。

「おい!お前大丈夫か?今にも世界が終わってしまうみたいな顔してっけどよ⁉︎」

「あぁ…先輩。まぁ…大丈夫です。
あの、先輩その、上の人達からなんか聞いてますか?
いつ前線に出される事になってしまうのか…とか」

「お前なぁ、どこで上の者の見張りが聞き耳立ててるんだかわかんねぇんだぞ⁉︎言い方には気をつけろ!
…ただ、これだけは断言できるってことがある。
今領土争いのターゲットがバルカン半島なのは知っているか?」

「あの、ヨーロッパの火薬庫と言われる⁉︎そんな話聞いたこともないですよ?」

「当たり前だ。バルカン半島の存在をロシア・ドイツ・オーストリア・イギリス・イタリアの5カ国はもみ消そうと必死だからな。バルカン半島はいわゆる勝利の女神に微笑んでもらうためのチケットだ、先に手に入れた者が勝者となる。」

「そん…な
もしかしたら、そこに立たされるってことも?」

「…そうなるな。
そのために今手段を選ばずにいろんな武器を使っていろんな作戦を立ててアホみたいに必死こいてるんだよ。」

「そんなことのためだけにこれからどれだけの人が犠牲に…」

「さぁな、知ったこっちゃねぇんだろ、お偉いさん方にとっちゃ。
それか、それだけ重要すぎるってことなのかもしれないが…」

それからどれぐらいたっただろうか、戦争の苦しみにひっそりと紛れる不穏な気配に騒々しい街の音も聞こえないぐらい絶望していた。

『ドイツがこの戦争で負けるなどありえない‼︎』

大きな図太く不快な声が耳に飛び込んできて我に帰った。

「何が『絶対に負けない』だ、兵士のことは物ぐらいにしか考えてない癖に…人の気も知らないで…」

なんとも居心地の悪いその街から目を背けるように大勢の人々の間を縫って
足早に裏通りに逃げた。


一ヶ月後
参謀本部のお偉いさんが想像していた以上に戦争は激化した。前線で戦う日が来てしまった…
もし戦場で死ぬなんて事になったら…考えただけで震えが止まらない。
震えているのを悟られないように慌てて胸元の家族写真にGew98を押し当てた。(ゲヴェア)

「まだ、何も家族にしてあげられてないのに…」

「君も家族のために兵士になったのかい?」

固い軍靴の音が似合わない、優しそうな青年が声をかけてくれた。

「あなたは?」

「これは失礼。私は…おっといけない。あまり人に干渉する人は戦場ですぐに死んでしまうからね。
う〜ん、どうしようかな…そうだ!僕、昔は生物学者でね“先生”って呼ばれてたんだ!
だから君も僕のこと先生って呼んでよ!」

「わかりました!“センセ”」

「君、歳はいくつ?」

「18です」

「若いんだね!じゃあ君は『青年』って呼ぶよ?」

「わかりました」

その後、出撃までの時間先生といろんな話をした。先生にはカレンという娘とジェニファーという奥さんがいること、小さな妹と病弱な母がいること、父は4ヶ月前、敵陣地の偵察に行ったきりかえってこなかったことを話した…
二人の間に重苦しい空気が流れる。口を開こうとしたその時、戦争の理不尽さに胸を痛める暇などないと言わんばかりの集合ラッパが響き渡った

『これからバディを組んでもらう。バディが死んだら報告をしろ。基本、戦場でもバディと組んで行動してもらう。』

「もちろん、青年とバディだね!よろしく〜」

「先生、足手まといかと存じますがよろしくお願いします!」

こうして二人で戦場へでる事になった…

しばらく軍用トラックに揺られ、降り立った場所はまるで違う世界だった…
銃弾や爆弾の雨の中に、敵か味方かすらわからない悲鳴、怒号が響いては消されていった。
周りの人たちがどんどん減っていくのが見なくてもわかった
死にたくない、足を止めれば次は撃たれる
怖い、痛い、熱い、痛い…そんなことを考えているうち
「ぐぁぁぁっ」と聞き覚えのある声が聞こえた
無意識に後ろを振り返ると、あるはずの先生の姿が見えなかった。
先生はそこら中に倒れている人々の中に…血まみれの姿になっていた…
後ろを警戒しつつ先生の元へ行き、先生を連れて隠れられる場所まで逃げた。
先生は肩を撃ち抜かれていた。

「青年、ありがとう。君は…君だけは生きてくれ。家族にあって僕の分まで幸せにしてやれ。頼んだぞ」

「はい…」

そういうと先生はピクリとも動かなくなった。

銃撃戦が弱まるまで先生の遺体を守った
敵が襲いかかってきたら無我夢中に戦い、手持ちのナイフで刺し殺した。
あの、思い出すだけで吐き気がするような、肉を切り裂く感覚は今も指先の神経に絡まって離れない。
そんなどうしようもない罪悪感に押しつぶされながら先生をおぶり、やっとの事で見つけ出した先生の家へ向かった。
奥さんに会わせたかったのかもしれない。家族を愛していると話をしてくれた事を聞かせたかったのかもしれない、
でも、ただひたすらに謝ることしかできなかった…

先生は短かったとは言え、もうとっくに大切な仲間になっていた。
先生といると、あんなに不安で押し潰されそうになっていた心が、軽くなって、楽しいことしか考えられなくなった…
そんな大切な人が、あんな一瞬で目の前から消えてしまうなんて…

「やっぱり戦争は理不尽すぎる…どうして…どうしてあんなに良い人が死ななきゃいけないんだ…」

辛すぎる現実を背負い、家に帰ろうとしたが…足がすくみ家族の待つ我が家へ帰ることが怖くなった。
その日は、飲み食いせずに永遠と続く忙しないドイツの街を歩いていた。

途方もない時間が経った頃ように感じられる。
もはや、どこをどう来たのかも分からない、お腹も空いているのだろう、喉もカラっカラに乾いているのだろう。だが、その感覚すらない…ついに力付き道端で倒れてしまった…

〜ヴェカーヴォ村〜
目が覚めると、木製の高すぎる天井が見え、美味しそうな匂いがした。

[あぁ、やっと目ぇ覚めたんべか?]

「あの…もしかして道で倒れているところを助けてくださったのでしょうか?」

[んだ。あんた名前は?どこさから来た?]

「カノターウォという街から、名前は…」

名前を言おうとした時、先生が言っていた言葉を思い出し、偽名を使い別人を演じる事にした。

「名は、ナイトとでもお呼びください。ところで、あなたは?一体ここはどこなのでしょうか?」

[ここは、ヴェカーヴォっつぅ、片田舎だべさ。辺鄙なとこだが住みやすくていいとこだ。
俺はギルバート。この村で一応だけんど、村長してんだわ。]

「そうですか。この御恩は忘れません。あと…厚かましいとは思いますが…しばらく置いてもらうことはできますか?」

[俺はかまわねぇけども、家族が心配するで?]

「家族は…全員亡くなりました…」

[そうか…すまなかった
そだことなら好きなだけいていいで!
何んせワシも独り身なもんでね、へへ
これからよろしく頼むよナイト]

「何から何までありがとうございます!」

こうして“ナイト”として別の人生をヴェカーヴォ村で過ごす事になった。


あれから5年、あの日以来戦場には行っていない
どうやら先生と一緒に戦死した事になっていたらしい
まだ生きていることは家族も知らない
そのおかげで戦場には呼ばれなかった
それでもあの日の感覚は昨日のことのように残っている…
終戦はしたが国内で帝政打倒の改革が起きドイツは…負けた
ありえない敗北だ…でも

「もう、怯えて暮らす必要はなくなるんだ。これで、よかったんだ…よな」

この戦争で負けたことで、ヴェルサイユ条約で大量の賠償金が課せられたドイツはおかげで金欠。
ヴァイマル条約のインフレでマルク紙幣は紙クズ同然。そこらで燃やしている人もいた…
さらに、ドイツの領土は連合国に全て奪われた…あげくの果てには軍備も大幅に制限されてしまう始末…
家族は大丈夫なのかな…そろそろ帰らないと、いい機会だしな。

「ギルバートさん、あの…突然ですが帰る事にします。」

[なんかあったんか?]

「いえ、戦争も終わりましたし、家が荒らされていては困りますしね。」

[そうか。気ぃ付けんだぞ。なんかあったら戻ってこ!俺はいつでも歓迎だかんな‼︎]

「本当にありがとうございます。」

こうしてナイトとしての仮の人生に“は”幕を閉じた。


何日も歩き続け、ようやく故郷の街へとたどり着いた。あの頃と何も変わらない街並み、記憶のままの我が家。記憶に深く刻まれている風景に心の底から安心する。
庭にいる二人の女性に声をかけようとするや否や…

「おにぃちゃん‼︎お帰り‼︎よかった!生きてた!お母さん、おにぃちゃんが生きて帰ってきたよ‼︎」

「あぁ‼︎夢じゃ無いのかい?これは夢じゃ無いのかい⁉︎」

「夢じゃ無いよ!心配かけてごめん。本当にごめん」

「いいの!おにぃちゃんが5年ぶりに帰ってきてくれたんだもん!」

「あぁ、そうとも。私達はお前が戦死したって聞いてたもんだから、毎日お前を迎えに遺体安置所まで通ったんだ、でも一向にお前が来ないから、きっとどこかで生きてるに違いないって、ずっとここで待っていたんだ!」

「ありがとう母さん!ありがとうリタ!」

そう言うと、深々と頭を下げた

「親不孝者ですが、これからも一生涯よろしくお願いします!」

「もちろんだよ。ほら、頭をお上げ。一緒にご飯にしよう、久しぶりの家族でのご飯だ!」

「おにぃちゃんの話、いっぱい聞かせて!」

こうしてまた、いつも通りの生活に戻る…はずだった。


「いってきまぁす!」

そう言って家を出て、日課の薪集めに行った。

「今日はやけに穏やかだな…」

雲もなく、鳥もいない、ただ風が包み込むように吹き込んでくる…
嫌な予感がした…
その予感は的中した。
早めに家に帰ってみると誰もいなかった。
いや、正確には誰も生きていなかった…
部屋は荒らされ、あたりにはリタと母さんの鮮血が四散していた。
身体の力が一気に抜け、膝から崩れ落ちた。

「金目のものがなかったから腹いせにか?
それとも、盗んでいるところを見られたからか?」

やけに落ち着いていた…
泣くことさえしなかった。いや、できなかったんだろう。
そのまま、静かにリタと母さんの死体や家の中を片付けた…
あの悪夢のような日が今まで以上に、血塗られて映し出された。
手が震えて、動けなかった…

「まただ…」

数日、部屋にこもってただ、ぼーっとしていた。
ふと窓に目をやると、昔父さんに作ってもらって、リタとよく遊びまくったブランコが見えた。
それと同時に、一粒、二粒と涙がこぼれてきた。

「リタ、母さん、父さん。ごめん、ごめんなさい...」

それから一日中、子供のように声を上げて泣きじゃくった。涙が枯れ果てるまで…


次の日
もう、この人生を生き続けるくらいなら…
だから、ベンジャミンとしてこの家で新しい人生を生きていく事にした…
今までの思い出が見えないように、出てこないように…
でもそう上手くはいかないのが道理。

インドのガンジーは、イギリスの支配に抵抗した。
イギリスでは、エメリン・パンクハーストが女性参政権を認めさせるための活動を始めた。
そのほかにも、世界各地で自由と進化を求めて、行動を起こしている。
なのに…なのに逃げてばかりの行動がつくづく嫌になってくる…

「もう、いっそ…殺される方がマシだ…」

自分で自分をどんどん先の見えない真っ暗闇に突き落としていくようだった…

そんなことを、考えなかった日は無い。

ある夜、物置でガダダンッという音がした。
おそらくまた、泥棒だろう…
蝋燭を持ち物置へ行くと、人がいた。
でも、泥棒のような身なりでは無く、あの時着ていた軍服にとても、すごく似ていた。
もう少しよく確認しようと近づいた。

「えッ…」

似ているではなく、それは、紛れもない軍服だった。
それも上層部の、勲位が高い人だけが着用するバッジが、蝋燭の火に優しく、そしてはっきり映し出された。

『くそっ!見られたか!』

「どうして…」

『うるさい‼︎』

そういうと、軍人は腰に付けていた拳銃を突きつけ引き金を引いた…
その玉はちょうど左胸に当たった…
その場でばたりと倒れたが、痛みは感じなかった…
軍人は何のためらいもなく足早に去っていった。
じわじわと、床に血が滲み出ていくのがわかる。
温かくて、冷たい…
段々と意識も遠のいていく…
感覚も無くなってくる…

あぁ…死ぬのか
あっけないな…
でも、今まで周りの人に迷惑しかかけなかった報いだというなら…

あぁ…


やっと…。



fin.






どうでしたか?

一週間しかなかったからあんまりいい出来じゃないけど…

楽しんでいただけたら幸いです!

これからもよろしくです♪
161796通目の宛名のないメール
この小瓶にお返事をする
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います。
※誹謗中傷や否定批判のお返事は流れません。

ワールドエンドファンタジー
お返事が届いています
トルラ・ユーリ
(小瓶主)
てか、今気付いたけど

これ2回コピペしちゃってるね…。

まじでごめんなさいm(_ _;)m
トルラ・ユーリ
(小瓶主)
返信あざっす!
初めて褒められたっス!
これからも何卒よろしくお願いします(^∇^)
すっごい面白いし、泣けます。(/ _ ; )
こんなに文章書けるなんて、、、尊敬です!(๑╹ω╹๑ )
勝手にフォローさせて頂きました。
すみません!
それでは!
この小瓶にお返事をする
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います。
トルラ・ユーリさんの他の小瓶
受験生です…。 こんな思いをする人が一人でも少なくなることを祈ります。 2 受験生です…。 こんな思いをする人が一人でも少なくなることを祈ります。 舞台俳優デビュー‼︎演劇塾による公演が行われたんですが、私も舞台に立ったんですよ。
以下はまだお返事がない小瓶です。お返事をしてあげると小瓶主さんはとてもうれしいと思います。
卒業。ありがとう。僕の人生の中の3年間。みんなと過ごせてよかった。みんなで卒業できてよかった。みんながいたから頑張れた 生きるのに疲れた。人間辞めたい。 失敗した。いや、今回に関しては私のせいじゃない。そういう運命だったから変えられなかった。クラス替え。いつものクラス替えならこんなに落ち込むことない。 過去一のストレス。もう嫌だ 疲れた。もう自分で抱えきれなくなったので自分の過去含め現在の悩みを書かせて頂きます。(長文になります) すみません。迷惑かけてごめんなさい。優柔不断でごめんなさい。バカでごめんなさい。何もできなくてごめんなさい。弱くてごめんなさい 初めまして。部活で今悩んでいることを聞いて欲しいです。個人競技で、しばらく休部していたのですが復帰する勇気が出ません。 友達って結局最初からいらなかった。損した。心当たりないのにブロックされたよ。 私より遥かに生涯年収が高くなるであろう姪や甥に、やれ入学だ卒業だ成人だと何かにつけなけなしの身銭を切ってお祝いを包まねばならないの意味不すぎだろ 悪く言えば洗脳。一人暮らしを始めて知った、私は母に依存していたし母もおそらく私に依存していた。 雑談する!ひま! 『二文字の気持ち』 もう辞めたい降りたい。学校も勉強もバイトも進路も大学も就職も全部もう耐えられない。こんなの甘えですよね。みんな頑張ってるのに。なんで私は何一つ頑張れないの。苦しいです 子供の寝かしつけ辛い。もうすぐ4ヶ月になる娘の寝かしつけについての愚痴です。 2024/3/14 日記

宛メのサポーター募集
お知らせ
過去のお知らせ
宛メサポーター募集 宛メで音楽 宛メコラム 宛メのアドバイザー石渡ゆきこ弁護士 宛メのアドバイザーいのうえちかこ(心理士・カウンセラー) 悩み相談ができる相談所を集めたサイト 宛メ本 小瓶に手紙を入れて流す
宛メについて
宛メのこころえ(利用者さんの言葉) お返事のこころえ(利用者さんの言葉) 宛メに参加している人たち(利用者さんの言葉) 宛メとの出会い(利用者さんの言葉) 初めての方 Q&Aヘルプ 宛メ、サポーター募集! 運営委員のご紹介 運営委員ブログ 特定商取引法に基づく表示 お問い合わせ 運営会社
twitter & facebook & instagram
フォローやいいね!すると宛メの情報が届きます。
緊急のお知らせなどもこちらから配信しますので、ぜひ登録をお願いします。
Follow Me