「アルバム」
朝、カーテンの隙間からの光で目を覚ます。
薄暗い部屋のベッドのキャラクター商品の枕が床に転がっていていて少し驚く。少し厚着し過ぎたせいかもしれない。もしくはー。そう考えかけてやめる。そういえば人間には夢を忘れさせる機能があるのだった。
まだ日が完全に昇っていない早朝で息をする。思ったより冷たくもっと冷えるとなると先が思いやられそうだった。鏡の前で口角を上げて作り笑いをした。
これで私のできあがり。
今日こそいい日になると信じて黄緑色をしたカーテンを開く。
そう、今日こそは。
あまり気持ちの良いとはいえない目覚めに少し不満を漏らしながら朝食を準備する。
途中目玉焼きに入りかけた卵の殻に苦労して作った我ながら上出来の朝食を机の上に配膳して、箸を用意する。箸を取ろうとした時謎の満腹感が自分を襲い、思わず手を引っ込める。仕方なくラップをかけ冷めてから冷蔵庫に入れることにした。
いつも通りの朝の風景。
何度もこの朝を私は迎えた。
何ら変わったことのない日常の朝。
でもどうして私の胸は苦しみを訴えるのだろうか。
どうして緑色だったはずのカーテンの色はあんなに黄ばんでいるのだろうか。
どうしてもう持ち主はいないはずのキャラクターがプリントされた枕は床に転がっていたのだろうか。
朝、カーテンの隙間からの光で目を覚ます。
顎の下の硬い感覚に驚いて顔を上げる。
そこにはあの幸せな日常があった。
もう色褪せて埃を被った写真の数々。
もうあの川に奪われた日々はやってこない。
昔、私の隣に居たあの子は写真の中にしか居ない。
隣のあの子が枕のキャラクターに似ているから、主人公は依存して廃人になっている、という解釈でしょうか?
流れも悪くなく、言いたいことはなんとなく分かるのでいいと思います。
ひとつアドバイスするなら、「Aと思ったけどB」を主人公が繰り返していて主人公の言動がぼやけているなと思いました。
例えば「厚着をしすぎて暑い/思ったよりも寒い」「今日こそはいい日になると信じる/あまり気持ちのいい朝じゃない」「ご飯をつくる(お腹が空いたから?)/食べない」などです。反転させるなら、主人公の設定や性格を表現するのに一番重要な矛盾をひとつだけ選んで反転させた方が、読む側にとってはグサッと印象に残りやすいじゃないかと思います。
上から目線で失礼しました。
確かに謎の行動を繰り返す主人公というのもいいんですが、違和感を一回起こすだけでも読み手に「えっ?」と思わせることはできます(むしろ情報量が少ない方が記憶に残る)。読む側の意見として参考にしていただけますと幸いです。