病が体を蝕むほどに、死を待つ心を穏やかにするらしい
身体は病んでいないのに、どこか死を穏やかに感じる。
どこかで死を待つ私が、今穏やかにその時を過ごしている。
涙を流しほど恐れた死を、ただの時間が穏やかにしたのだろうか。
死の時を、極身近に感じ、待ち侘びる
その時はいずれくるものと、抗いもせず
おかしな話だ。愚かだという私もいる
病でもない、まだ若いと彼女は云う。
死を恐れなければ、生きていけないという私もいる
無を恐れよと彼女は云う。
いずれ死はくる、たかが後60年もない命が、そんなに短く感じるかと、問うてくる私もいる。
遺書には何を書こうかと、笑って尋ねる私もいる。
練習だよ、いずれは書くのだろう?と冗談めいて彼女は云う。
。