私には怖いものがある。
それはいつもそばにいて、逆らうことができない。
それはいつも私達から、色々なものを奪い去っていく。
それは私たちに美しさをもたらすこともあれば、醜さをもたらすこともある。
私達がそれを支配することは出来ない。
それの前では抗うことする無に帰する。
だから怖い。
私はそれ以外は怖くない。
お化けも、
怪物も、
悪魔も、
人も、
自然も、
死も、
まんじゅうも、
何も怖くないはずなのに。
一度動き始めたその針は、止まることを知らずに動き続ける。
誰もそれを遮ることは出来ず、ただそれを見て感じることしか出来ない。
どんだけ緊迫した状況下でも待っててはくれない。
流れ続けるものは必ずその周りを風化させてしまう。
刻めば刻むほど古くなる。物も人間も地球も。
後戻りが出来ないと気づいた頃にはもう遅い。私たちはすでに囚われている。