6月に流した小瓶がいまだに波間を漂っているようなので、
この小瓶もいつ岸辺に流れ着くのかわからないけれど、
どうしても瓶に入れて流したいお手紙があります。
いつかたどり着いて、誰かに拾ってもらえると嬉しい・・・・・。
私が働いている職場は、たぶん世間的には底辺に見られる仕事。
単純作業、重労働、低賃金。
そんな中でも要領よくテキパキ進められる人と、私のようにモタつく人と。
幸いなのは、人間関係が良いこと。
どの人も優しくて、たぶん、これまでの人生で、
いろんな場面でうまく立ち回れず傷ついてきた人が多いからかもしれないな、と思う。
まぁ、たまにヤな人もいるけど。
人って少しでも仕事が速いとか、記憶力がいいとか、経験値が多いとかってだけで、威張るんだよね。
そういう人の存在によって、時々、落ち込むことはある。
ある日のこと、いつものように、ひたすら重いものを運んだり持ち上げたり、商品の数を計算したりしていたとき
突然、ある考えが浮かんだ。
あ、私たち、みんな同じなんだ!・・・って。
基本は同じボディー。
人間っていう同じボディーをまとってる。
見た目はそれぞれだけど、
得意・不得意、性格の違いもそれぞれだけど、基本は同じ。
そんな中で多少の能力の違いって、ボディーに塗られた色や模様の違いに過ぎないんだ!・・・・って。
生まれおちた両親の違い、
家庭内文化の違い、
すなわち育てられ方の違い、
付き合ってきた友達や知り合いや恋人の違い、
良いことも悪いことも含めて出会ってきた人、もの、こと、経験してきたことの違い、
いろんな違いによって今の自分がいて、
ちょっとだけ鈍くさかったり、
敏感すぎたりしたとしても、
それは私をいろどる色合いの一部。
でも、基本は、あそこでテキパキ偉そうに人に仕事の指示してる人と同じ。
あの人はたまたま、そういうカラーを身につけているだけ。
あの人だけが特別すごい人に生まれついているわけじゃない。
そんなふうに思い始めたら、なんだか自分をそう卑下したり、
テキパキ偉そうに指示してくる人の前で萎縮したりするのが
とてもつまらないことに思えてきて、
そうしたら急に気分が軽やかになった。
たまたま、たまたまなんだよ。
仕事に失敗したり、
誰かに「ほら、何やってんの!」って言われたとしても。
私の体についた小さな色の点の特徴にすぎないんだ。
それが全てじゃない。
私だけがダメダメダメな人間に生まれついたわけじゃない。
あの人と私の違いなんて、ただの表面の色の違いにすぎないんだ。
あの人が経験していないことを私は経験してきた。
たぶん、あの人より複雑で、辛くて、厳しいことも。
でもだからこそ、私は今の私としてここにいる。
良い面も悪い面も。
私もあの人の経てきたものは知らない。
目に見えている、あの人がまとっている色だけ。
その色に優劣なんてあるものだろうか?
だって基本は同じボディ。
人間っていう同じボディスーツをまとってる。
それでもこの色をまとっているのは私だけ。
私は私。
なんだか少しだけ、やっと自分らしさに近づけた気がする。
ちょっとだけ強くなれた気がしてる。