秋の空は朧げである
雲もぼんやり、空もぼんやり
雲が多くかかっても、空は優しい青い色
人の作った建物ばかりが、鮮明に見える
風が適度に涼しげで、草木の匂いを通していく
はっきりしない、無いようであるような薄い香り
人の姿が眼中から消えれば、有るは空と風のみで
鮮明に見えるものほどどうでも良くなる
流れているか止まっているかわからない雲をぼんやり眺めて、時折虫の羽音に耳を貸し、紅葉していく桜の寂しを慰めて、時間を潰す
いつしかこの時間が人生で最も重要なのでは無いかと錯覚し、人の作ったよく働く面倒臭い板を置く
忙しいのは人だけだ。