自殺未遂に失敗すれば良いのだと、彼女は笑った。
僕は特に何も言わずに納得だけしていた。
世間一般的に見れば止めるべき場面なのだろうけれど、そんなの知ったことじゃない。
彼女がそう思うのには彼女なりの理由が何かしらあるのだろうし、僕には自分を棚に上げてまでそれを指摘するだけの図太さなんてなかったから。
結局彼女も僕も、自殺未遂に失敗することに失敗し続けている。
退屈な日常が変わることなんてそうそうありやしないし、だとすればそれも当然のことなのかも知れない。
一部の人からすれば、僕らは神経を逆撫でするような行為をしているに等しいに違いない。
だけど変わりたくても変われなくて、周りが皆羨ましく思えて、自分が醜く見えるのならば、もう良いのかも。
やめてしまおうか。
いっそ全部。
期待することも、自分に失望させられることも、嫌なことをすべて捨て去ってしまえる手段。
それが自殺だっただけ。
今日も死にたい。
今日も上手に生きていられない。
今日も結局自分に甘い。
ずっとそう。
ずっとずっとずっとずっとずっとずっと、吐き気を催すほど僕らは変われやしない。
ただ変われないだけだったらまだ良かった。
過去に縋ってしまったり、堕落していく自分を受け入れられなかったり、そういうことが嫌だった。
自覚があるのに変わろうとしすらしない自分が大嫌いだった。
そうこうしているうちに皆離れていった。
無情に過ぎ去っていくだけの時間に呑み込まれて、抜き去られて、そして置いて行かれた。
置き去りになった僕はどうなるんだろう。
このまま大人になって良いわけがない。
だったら今ここで終わってしまえたら、後腐れなくて良いんじゃない?
もう過去のように神様に縋れるほど頑張ってもいない。
1年近く努力を怠っているのだから当然の報いなのかな。笑
もう高校生になっちゃったな。
選挙権があと2年半で手に入ってしまうなんて信じたくない。
やだやだやだやだ
大人になんてなりたくないのに。
女子っぽくなんてなりたくないのに。
知らない、聞いてないって手違いだって、主張すれば優しくしてもらえる世界線にいたかったよ。