母へ。
気付かないでほしい。
私はとうの昔に、貴女を支えるために多くの感情を潰してしまったこと。
私が怒らないのは、貴女みたいになりたくなくて怒れなくなったからということ。
私は貴女に頼らずに、こっそりと自分と周りの人の力で亀裂を修復してきたということ。
それでもなお欠けたままの心が、定期的に痛むということ。
心の欠けは、外からも透けて見えること。
気付いてほしい。
貴女が喧嘩と呼ぶそれは、ただの精神的な暴力だということ。
貴女はとても視野が狭くて、下品だということ。
貴女の連れてきた彼氏は、元夫に似ているということ。
貴女の連れてきた彼氏の煙草や言動が、私の体内をひどく掻き回しているということ。
貴女が文句を言う弟の言動は、全くもって正しくて、不満の現れだということ。
いっそ憎めたらいいのに。
好きになりきれないから。
頑張ったよ、でも、好きになれない。
あの人の目は私の方を向いていない。影。影だけみてる。
愛されたいとは言わない。邪魔しないで。
自分の世話は自分でして。拒否する権限をください。
もうすぐ母の日。
忌まわしい日。面倒な日。形式的な日。
薔薇やカーネーションをたくさん買うお金はある。
小銭を握りしめて一輪買ってきたあの日が懐かしい。
今は嫌だね、花と手紙なんて。汚してしまうから。