起きたら、母親の機嫌が悪かった。
無視して朝ごはんを食べていたら、ひょんなことから私の結婚相手の話になった。
挨拶に来たときはニコニコと対応していたくせに。
「お金もないし」
「あんたの方が稼ぎがいいのに」
「家事はやらないでしょ?あの人」
「あんた絶対苦労するよ、可哀想に」
嫌なのか、結婚してほしくないのかと問えば
「そうに決まってる」
もう、分からない。
賛成なのか反対なのか。
一人暮らしが長い相手だから、変な話私より家事はできる。稼ぎは確かに良くないけど、それは私も同じだ。
心配しているなら心配しているなりの言い方があるはずだと思うんだけど、そういう言い方じゃない。失敗して、泣きながら母親の元に戻ったとき、「ざまあみろ」とでも言うだろう。そんな言い方だった。
一日中塞ぎ込んだ。自分の母親はこんなにも、気まぐれで娘を傷つけ、悪びれもしない女だった。
昔から私に「失敗しろ、失敗しろ」と願っているようなところがある母親だったが、さすがにこれには心底驚いたし、絶望した。
もちろん謝罪の言葉はない。「心配だから」というような弁解の言葉もない。というか、もはや言ったことすら忘れている。たぶん、私が「あれは嫌だった」といえば、「何のこと?」ととぼけるか、「だってそれはあんたが苦労するに決まってるから!」と決めつけたような言い方をして、余計騒ぐかだ。
もう疲れた。自分の失敗ばかり願われるのは。
最初からあんな女のところに産まれてくるんじゃなかった。これじゃ彼にも申し訳ない。
自分も子どもを持てばあんな母親になるかと思うとぞっとする。だから子どもは産みたくない。こんな可哀想な人間を増やしてはいけない。本気でそう思う。
彼のことは好きだ。一緒にいたい。
でもそれを「失敗する」と呪ってくる奴がいる。
もう捨てていいかな。あんな母親。