ドラえもんのひみつ道具ってワクワクする。
無数にあるひみつ道具は、適当なものを選べばなんでも叶えてくれるから。
よくある質問。「ひみつ道具をひとつ貰えるなら何が欲しい?」
昔は悩んだその質問も、今は、ちゃんとひとつに決められます。
「石ころぼうし」と。
消えたい。その願いを1番叶えてくれるのは私の知る限りこれです。誰からも認識されないってなんて素晴らしいのでしょう。
僕は、高3です。私立の進学校に入学したものの、勉強をする習慣がなくダメになっていきました。その矢先のコロナで、映像授業が配信されるも全く見る気になれず頭は学内で最底辺になりました。
高1のときの仲良しとは自分の頭の悪さゆえクラスが離れ、ただ腐った自分は高2でも堕ち続けました。高1のころの友人に出席日数を心配させてもなお学校に行けませんでした。そして高2の11月末、通信制に逃げました。
(補足として、高1では友人関係はあったものの嫉妬にまみれて自分はどんどん卑しく、自分を嫌いになっていきました。また、高2で友人を作るまいとしたものの上手くいかず、何人かの人間関係をぐちゃぐちゃにしてしまいました)
通信制高校では、久しぶりに息ができた気がしました。友人を作らないという誓いは守れました。2人、知人を作りましたが(右も左も分からないため先達が必要だった)、あまり会わないので親しくなりませんでした。
また、高1のころの友人とは距離を置き(高2のひとたちとは崩壊済み)、少しずつ回復していきました。
そして─二月末のことでしたか─僕はとうとう、通信制高校の2人以外のLINEを消しました。すべてのグループを抜け、それ以来ただの1度も、友人と呼んだひとたちとは連絡をとっていません。
高1で知り合った6人も、高2で知り合ったひとたちも、中学3年間親友だった(自分史上1番好きだった)子や小中高同じだった子も……。
Twitterもやめました。ゲームも消しました(これは受験のため)。
しかし最近、夢を見るんです。縁を切った彼ら彼女らと駄弁っている夢を。それ自体は別にいいのですが、ある女の子の存在を思い出すことは僕にとって辛いです。彼女の辛さが辛いんです。もしかしたら僕を忘れているかもしれないけど、僕のために泣いてくれたひとだから。出席日数を心配して、この曜日は来て、など僕のために計算して言ってくれたりもしました。僕は彼女を泣かせてしまった。それが辛いのです。これはエゴで、悪いのは僕です。この胸の痛みは贖罪なのかもしれません。でも僕にはそれしか出来なかった、キラキラ輝くあなたたちとは違ったのだから。
僕は戻れないです。でも、会っていなかったから。会わない時間を過ごした僕達は確実に違う人になっているから。だから縁を切っても問題は無いと思ったのです。許してとも理解してとも言いません。ただ、僕を忘れて欲しいのです……。
だから確実に忘れられる石ころぼうしを着けて、願わくはあなたに会いに行きたい。あなたの笑顔が見られたら、僕はあなたを忘れられる。僕はただのエゴイストに過ぎないけれど……。
注)僕は生物学上も、自分の認識も女です。恋愛感情を抱くのは男の子に対してです。ただ、男の子になりたかった。男の子へのあこがれゆえに、一人称は僕、俺、女ゆえに私を用いたりもします。
そして僕はストーカー被害者になったこともあるのでストーカーは嫌いです、誰に対してもストーカーするつもりは無いです──もちろん彼女に対しても。