『岳』(石塚真一 小学館)
登山経験のない私でもハマってしまい、一気読みした作品です。
北アルプスを舞台に、山岳救助隊をボランティアで補佐する主人公、島崎三歩。
山を訪れる人たちの様々な人間模様に、自分の姿が重なることもあり、幾度も励まされ、慰められました。
「人生は山登りに似ている。山へ登ったかぎりは、降りなければなりません。山へ登りっぱなしのことを遭難したといいます」
心理学者ユングの言葉です。
『岳』を改めて読んで、この言葉が浮かびました。
私の家族を持ち、子どもも成長…。
もう一人ではない。家族を守るためにと必至に頑張ってきましたが、破綻はいきなりやってきました。
茫然と過ごすだけの2年間……
そんな私を支えてくれたのは、本や映画からの人の言葉でした。
『岳』もその一つであり、主人公の生きざまは、私の希望となりました。
ネタバレとなりますが、ラストの悲劇には、私も衝撃を受け、主人公に感情移入していただけに辛かったです。
しかし、その後、同じ様にハマった方のラストに関する考察を読んで、はたと膝を打った次第です。