絶対に離婚しない。私は子供が欲しくなかった。夫にも交際中にそう話して納得してもらった。でも夫が同僚から子供の話を聞いてだんだん欲しがるようになり

私は子供が欲しくなかった。夫にも交際中にそう話して納得してもらった。でも夫が同僚から子供の話を聞いてだんだん欲しがるようになり、自分もちゃんと子育てする可愛がる子供のいる生活楽しいよ！と毎日言うようになった。私は根負けして、夫が育児を積極的にする事を約束して子供を産んだ。
でも実際子供が生まれてみたら、泣いてばかりだし、夜中に起こされるしで夫は迷惑そうで、休日には「赤ちゃんが泣くから寝られなくてストレスがたまる。1人になりたいから漫画喫茶に行く」と言ってろくに子育てに参加しなかった。夫は子供が好きだけど子育ては好きじゃない人だとこの時気づいた。そして夫が好きなのは漫画に出てくるみたいな都合のいい子供。あやせば笑いすやすや寝る天使。アホかそんな子めったにいないよ。子供の誕生をきっかけに夫の幼稚さが露呈した。
さらに悪いことに子供には発達障害があった。
幼稚園の頃には既に扱いづらさMAXでかんしゃくを起こしては床に自らの頭を打ち付けたり私に噛み付いたりした。私は必死でこの障害について勉強して、子供への対処法を学んだけど、夫は障害児を嫌った。心臓病とかと違って死なないもんな…などと言った。
私は離婚を考え始めたし、夫も離婚したそうだった。
でももしもこの子と2人で暮らしたらかんしゃくばかり起こしてうるさいとアパートを追い出されて、療育通いでフルタイムで働けず、私はそのうち疲れきってこの子を殺してしてしまうかもしれないと思ってとどまった。夫が稼いでくれば取り敢えずは子供と療育センターに通うことが出来る。
そしてもしも離婚したら夫が人生をリセットし障害児のいない自由な暮らしを謳歌して楽しく暮らすのだろうと思ったら許せなかった。夫が希望して授かった子供なのに、夫だけがこの大変すぎる子育てから開放されるなんて許せない。
だから絶対に離婚しない。
あれから十数年たって子供は10代後半になった。今もかんしゃくを起こして物を壊すし壁に穴を開ける。知的障害がなく障害者手帳は待っていない。でも普通に就職なんて無理だろう。この先ずっと私たちが年金暮らしになっても養い続けなければならない。私はストレスで病気になった。離婚しなかったから闘病しながら生活出来ている。
でもただ苦しいだけの十数年間だった。これからも生きている限り苦しいんだろう。
毎晩布団に入ると「このまま目覚めなければいいのに」と思う。何がいけなかったんだろう。子供が好きではないのに産んだことだろうか。私なりに精一杯愛情を込めて育てているが、愛情では障害は治らない。
一番悪いのは男を見る目がなかった私か…。とっくに愛情は覚めたけど離婚はしない。夫だけが開放されるのは絶対に許さない。