去年までの僕は嫌なことがあると感情を抑えきれず、左手の手首に鋭い危険物をぶつけ、そこから出てくる赤い液体を見て泣くことがよくありました。
世間一般ではそれをリスカと呼ぶこともあるけれど、僕の場合は浅い傷しか作れなかったのでそれほど深刻ではないからリスカではないのかもしれません。
本気で死にたいと思ってるわけではなく、ただ衝動的なものだったから…。
ある日ついに母親にバレました。
僕は『絶対に怒られる!』と思ったのですが母親はこう言いました。
『私もあなたくらいの頃、似たようなことをしてたよ…。
まあ、この程度だったら死にはしないから、今のところカッターは取り上げない。
どうせ構ってほしいだけなんでしょ?
バイ菌が入るといけないから、消毒はしておきな!』
あまりに予想外でした。
その日からなぜかリスカのようなことはできなくなりました。やってもとても痛くて血が出るどころか傷をつけるなんてできない…。
これが母親の愛の力ですか?