作者の気持ちを深く理解しようとする心を持たれている貴方は素敵ですが、
1つ美術館の額縁に納められた
芸術作品として味わうだけでもいいのですよ
わたしはこの作品の情景描写は好きです。
「私」の感性が表現が、素敵なんです。
「みすぼらしくて美しいものに惹きつけられる」
外見だけ美しく見える人や物が、本当に内まで純粋で心の美しいものであるとは限らない。そんな複雑な気持ちをなんと端的に表しているのだろう
「花火やびいどろ——無気力な私に寧ろ媚びてくるものですら借金取りの亡霊のようだ」
もともとお金もなかったかつての私の些細な娯楽すらも、認められなくなった。その気持ちは「私」の心の衰えのみを表しているだろうか?状況により物事の認識が変わることは悲しくもあるが実は新しい視点を得たという成長でもある。苦しいことも振り返りながら媚びてくるものだとか、借金取りのようだなどと味わってしまう主人公の生き方がなかなか面白い。
「色彩やあんなヴォリウムに凝り固まったというふうに果物が並んでいる」
店頭に並んだ果物を常日頃、機能(食べるため、買うためだけの果物)としてしか認識していなかった私は、これを読んで作者様の色彩感覚に感動したものです。絵の具のように鮮やかな、もりもりと盛られた果物や野菜の美しいと感じた気持ちをこんなに美しく表現する方法があるのかと
何て素敵な想像力、表現力でしょう。
確かに病気に侵され苦しんでいるのは紛れもない事実でしょうが、この作品で味わうべきはそんな主人公の絶望の気持ちだけでしょうか?
テストは仕方がないかもしれないけれど、
どうかお勉強が終わりましたら、
名作と言われるものの貴方自身の素敵な味わい方を見つけてみてくださいね。